【永久保存版】相続手続きの流れ・期限 

ご家族がお亡くなりになり、深い悲しみの中でも進めなければならないのが「相続手続き」です。 「何から手をつければいいのかわからない」「いつまでに何を終わらせるべきか不安」と戸惑われている方も多いのではないでしょうか。

相続手続きは多岐にわたり、役所や金融機関、年金事務所など、様々な場所での対応が必要になります。また、中には「〇日以内」と短い期限が決められている手続きもあり、後回しにすると不利益を被る可能性もあるため注意が必要です。

そこで、今回は、被相続人がお亡くなりになり相続が発生してから相続が完了するまでの手続きの流れと期限を、できる限りわかりやすく解説しました。今後の手続きに少しでもお役立ていただければ幸いです。

期限がある手続き

はじめに、期限がある手続きについて解説します。

死亡届【7日以内】

まずは、届出人が被相続人の死亡の事実を知った日から7日以内役所に死亡届を提出します。死亡届を提出しないと火葬や埋葬の許可を得ることができません。火葬は死亡から2日ほどで行われますから、死亡届は死亡当日か翌日には提出することになるでしょう。

死亡届はA3様式で、右半分は医師が書く「※死亡診断書」となっています。医師が死亡診断書の欄に必要事項を書いた後、死亡届を渡されます。死亡診断書はのちの手続きで必要になります。数枚コピーをとっておきましょう

※医師が診療中の病死を確認した場合は「死亡診断書」を、診療以外の病気や事故などによる死亡の場合は「死体検案書」を受け取ります。

死亡届の届出先、届出人は以下のとおり決まっています。

○届出先:死亡地、被相続人の本籍地、届出人の所在地の市区町村役場のいずれか
○届出人:親族、同居人、家主、地主、家屋管理人、後見人、保佐人、補助人など


(左半分の)死亡届の欄は届出人が書く必要がありますが、役所に提出するのは誰でもかまいません。葬儀社に葬儀の手配を依頼する場合は、葬儀社が提出を代行してくれます。

なお、火葬する場合は、役所に火葬許可申請書を提出して火葬の申請をしなければなりません。このときに死亡届も同時に提出します。死亡届の提出を葬儀者が代行する場合は、火葬許可申請も代行してくれます。

通夜~火葬

死亡届に必要事項を記入し、葬儀社に死亡届を預けると同時に葬儀の打ち合わせをします。葬儀の内容は親族の希望や葬儀社のプランなどによって異なりますが、一般的には「納棺→通夜→葬儀・告別式→出棺→火葬」の順に進んでいき、死亡から2日~3日を要します。

この間は葬儀費用、お寺への支払い、葬儀に飲食代、参列者への会葬御礼や手伝ってくれた方への心づけなど様々な出費がかさみます。葬儀社などから受け取った領収書などの書類は捨てずにとっておきましょう。領収書などが発行されない場合は、メモなどご自分で書き残したものでもかまいません。

相続人が同意すれば、上記の費用は被相続人の相続財産から払うことができますが、金額等の証明として領収書などの書類が必要になります。また、相続税の課税対象となる相続財産から控除することもできますので、節税対策のためにも保管が必要です。

なお、後日行う初七日や四十九日などの法要にかかる費用、香典返しの費用、お墓や仏壇の購入費用なども、相続人が同意すれば被相続人の財産から払うことができますが、相続税の相続財産から控除することはできません。

世帯主変更届【14日以内】

以下のいずれの条件も満たす場合は、死亡から14日以内に、世帯主の住所地の市区町村役場に世帯主変更届が必要です。

○故人が世帯主
○住民票の中に15歳以上の人の住民登録が2人以上残っている

上記の条件を満たす場合は、誰が世帯主になるのか役場がわからないため届出が必要です。一方、残る世帯員が1人の場合、妻と15歳未満の子どもというように、誰が世帯主になるかのか役場がわかる場合は届出は必要ありません。

【届出先】
・故人の住所地の市区町村役場
【必要書類】
・世帯主変更届(住民異動届)
・届け出をする人の身分証明書
・印鑑(認印で可)

国民健康保険資格喪失届or後期高齢者医療資格喪失届【14日以内】

以下の場合は、故人が亡くなった日から14日以内に手続きが必要です。

○故人が国民健康保険に加入していた(自営業だったなど)→国民健康保険資格喪失届
○故人が75歳(65歳~74歳で障害のある方も含む)    →後期高齢者医療資格喪失届

保険証は亡くなった日の翌日から使用できなくなります。遺族も同じ国民健康保険に加入している場合、遺族の資格自体は続きますが、世帯主の変更に伴い保険証が新しくなるため差し替えの手続きが必要です。役場への届出と同時に保険証を返却します。死亡届を出せば、保険証の返却のみで届出の手続きが不要という自治体もあります。

なお、故人が国民健康保険・後期高齢者医療制度に加入していた場合は、保険から葬祭を執り行った人(喪主等)に対し葬祭費が支給されます。支給を受けるには申請が必要ですが、上記の届出と併せて行うとよいでしょう。

届出の手続き

【届出先】
・故人の住所地の市区町村役場
【必要書類等】
・国民健康保険資格喪失届または後期高齢者医療資格喪失届
(以下、返却するもの)
・国民健康保険被保険者証(世帯主が亡くなった場合は世帯全員分)
・国民健康保険高齢受給者証(対象者)
・後期高齢者医療被保険者証(対象者)
(以下、自治体や状況により必要なもの)
・死亡を証明する書面(死亡診断書の写しなど)
・マイナンバーカードなど
・印鑑
~後期高齢者医療の対象者の場合~
・相続人の預金通帳
・限度額適用・標準負担額減額認定証
・特定疾病療養受療証

支給申請の手続き

【届出先】
・故人の住所地の市区町村役場
【必要書類等】
・申請書
・葬儀にかかった領収書
・振込先がわかるもの
・申請者の身分証明書
・印鑑

年金の受給停止【10日or14日以内】


故人が年金を受け取っていた場合は、亡くなった日から10日(厚生年金の場合)または14日以内(国民年金の場合)に年金受給権者死亡届が必要です。届出が遅れてしまったために年金が支払われてしまった場合は、その分を返還しなければなりません。

なお、日本年金機構にマイナンバーが収録されている方は、原則、この届出を省略できます。マイナンバーが収録されているかどうかは、ねんきんネットか最寄りの年金事務所で確認できます。

マイナンバーが収録されていない場合は、まずはねんきんダイヤルまたは最寄りの年金事務所に電話をして必要書類を確認しましょう。書類を準備するに際して、基礎年金番号を調べます。

基礎年金番号は、被相続人の「年金証」、「基礎年金番号通知書」、「年金手帳」などで調べることができますが、もしわからない場合は最寄りの年金事務所に電話して問い合わせてみましょう。

未支給年金を請求する場合は、年金受給権者死亡届と一体となった「未支給年金・未払い給付金請求書」を年金事務所または年金相談センターに提出します。

【届出先】
年金事務所または年金相談センター
※国民年金、厚生年金ともに
【主な必要書類】
・年金受給者死亡届
・故人の「年金証書」
・死亡の事実を証明できる書面(死亡診断書のコピーなど)

介護保険の資格喪失届【14日以内】

次の方が亡くなった場合は、亡くなった日から14日以内介護保険資格喪失届が必要です。届出する際に被保険者証などを返却します。

○65歳以上で、要介護・要支援認定を受けていた人
○40歳以上65歳未満で、16の特定疾病が原因で、要介護・要支援となっていた人

なお、故人が高額な介護保険サービスを受けていた場合は、負担限度額を超えた額について「高額介護サービス費」として払い戻しを受けることができます。払い戻しを受けるには申請が必要です。

【届出先】
亡くなった方の住所地の市区町村役場
【必要書類等
・介護保険資格喪失届
(以下、返却するもの)
・介護保険被保険者証
・介護保険負担限度額認定証(対象者)
(以下、自治体や状況により必要なもの)
・死亡がわかる書面(死亡診断書など)
・納付書や督促状(介護保険料の未納があった場合)
・届出人の身分証明書、預金通帳、印鑑

落ち着いたら行う手続き

次に、落ち着いたら行う手続きについて解説します。目安として初七日が終わった後から少しずつ始めていきましょう。

電気・ガス・水道・NHK

契約を続ける場合は「契約の名義変更+料金の支払方法の変更」、続けない場合は「解約」のいずれかの手続きをとります。電話かネット上で手続きできることが多いです。サービスセンターに連絡をとり、必要な書類を送ってもらいましょう。

携帯電話・固定電話・インターネット

これらも、まずは契約を続けるか続けないかを決めます。携帯電話の場合は、原則として、電話や郵送での手続きができず、窓口に行く必要があります。あらかじめ窓口に電話し、来店の予約をとりましょう。その上で、以下の書類等を準備し、予約した日時に店に行って手続きします。

必要なもの

【継続する場合】
・契約者の死亡及び契約者と承継者との相続関係がわかる書類(戸籍謄本、死亡診断書の写しなど)
・承継者の身分証明書
・毎月の支払いに必要なもの(承継者名義のクレジットカードまたはキャッシュカードor通帳+金融機関への届印)
【解約する場合】
・契約者の死亡がわかる書類(戸籍謄本、死亡診断書など)
・UIMカード/eSIMカード/USIMカード
・手続きする方の身分証明書

※持って行くものは手続きする箇所で異なります。あらかじめ確認しておきましょう。


一方、格安スマホ、固定電話、インターネットに関する手続きは電話やインターネット、郵送で手続きができることが多いようです。ネットでどんな手続きを、どんな方法でできるのか調べておきましょう。

運転免許証

故人が亡くなった時点で効力が失われます。免許証の返納義務がなく、そのまま放置していてもかまいません。ただ、有効期限内はハガキで更新案内の通知が届きます。通知が届いても放置したままでかまいませんが、通知を避けたい方は最寄りの警察署などで通知停止の手続きをとることができます。

必要なもの

・故人の運転免許証
・死亡がわかる書面(死亡診断書の写しなど)
・手続きする方の身分証明書

パスポート

パスポートも故人が亡くなった時点で効力が失われます。ただ、運転免許証と異なり、パスポートには返納義務があります。有効期限内にあるか否かにかかわらず、最寄りのパスポートセンター(各都道府県にある旅券事務所)で手続きが必要です。

必要なもの

・故人のパスポート
・死亡がわかる書面(死亡診断書の写しなど)
・手続きする方の身分証明書

クレジットカード

クレジットカードの名義人が亡くなったときは、解約手続きをとる必要があります。解約しないまま手続きを放置しておくと、年会費がかかる、不正利用されるなどのリスクを伴いますので注意が必要です。手続きの方法はカード会社により異なりますので、まずは解約の対象となるクレジットカードを特定し、カード会社に電話かネットで問い合わせすることから始めます。なお、未払金は相続人に引き継がれる相続財産のため、原則として相続人が払わなければいけません。

マイナンバーカード

マイナンバーカードは役場に死亡届を提出した時点で失効します。健康保険証としても利用することができなくなります。カードの返納義務はありませんが、返納を希望する場合は一度役場に電話し、返納を受け付けてくれるかどうか確認してみましょう。

交通系ICカード(Suica、PASMOなど)

交通系ICカードのチャージ残高やデポジットは相続財産です。無記名式の定期券の場合、相続人の間で、引き継ぐ人がそのまま使い続けるか、あるいは払い戻し手続きを行って一部の人がお金を取得するか、話し合いましょう。記名式の場合の分け方も同じですが窓口での手続きが必要です。窓口に死亡がわかる書面、手続きする方の身分証明書を持っていき手続きします。モバイル型の場合はスマホで手続きできます。

電子マネー(PayPay、LINE Payなど)

PayPay、LINE Pay、楽天ペイなどのバーコードやQRコードで支払う電子マネー相続財産です。したがって、手続きをして残高の払い戻しを受けることができます。まずは、カスタマーサポートセンターなどの窓口の連絡先を調べ、電話して担当者の指示に従って手続きを進めましょう。

また、楽天Edyやnanacoなどのプリペイド型の電子マネー相続財産ですが、会員登録をしておらず利用者を特定することができないため相続の手続きは不要です。払い戻しができないため、相続人の間で話し合って取得した人がそのまま使い続けることになります。

サブスク

YouTubeやNetflixなどの動画配信、GoogleやiCloudなどのクラウドストレージ、Amazonプライムなど、被相続人が何らかのサービスを有料のサブスクリプション方式で利用していた場合は解約手続きが必要です。契約や課金が自動的に終了するわけではないことに注意が必要です。

サブスクとログイン情報がわかっている場合はスマホやパソコンから手続きができます。一方、サブスクは特定したもののログイン情報がわからない場合は窓口に問い合わせましょう。ログインするには死亡がわかる書面などの提出を求められることが多いです。

なお、サブスクを特定できない場合などの対処法として、決済手段として使っていたクレジットカードや銀行口座を解約する方法が考えられます。料金を払わずに強制解約されることを待つのです。しかし、この方法によっても強制解約されず、料金の滞納扱いになってしまうこともあるので注意が必要です。

SNSアカウント

SNSアカウントについては、まずは規約を確認の上、

・アカウントの承継
・アカウントの削除
・追悼アカウントへの移行

のいずれかの対応をとることになります。

いずれにしても、被相続人が使っていたSNSアカウントを探すことからはじめる必要があります。LINEや実名登録が原則のFacebookのアカウントは探しやすいですが、InstagramやXについては友人など交流があった人からアカウントの有無を聞くなどして探します。

アカウントを探すことができたら各SNSのヘルプセンターなどの窓口に申請します。Facebookとインスタグラムについては、削除か追悼アカウントへの移行を選択できます。LINEやXはアカウントの承継ができず削除の対応をとらなければなりません。

埋葬料の申請

故人が健康保険に加入していた場合は、故人に生計を維持されていた方が組合等の保険者に対して埋葬料(定額5万円)の支給を申請できます。埋葬料は行われた葬儀・埋葬に対して支給されるものですので、実際に行ってない場合は受給できません。

健康保険の故人が亡くなったときは、保険者に対して健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届を提出しなければなりませんが、通常は会社の担当者が代わりに行ってくれます。埋葬料の支給申請や退職の手続き(未払い給与、退職金等の精算など)も併せて行ってくれる可能性があるため、担当者に確認してみましょう。

故人が亡くなると、故人に扶養されていた方も健康保険の被保険者ではなくなります。したがって、今後は、ご自身が会社に勤めて健康保険の被保険者になる、他の家族の健康保険の扶養に入る、国民健康保険と国民年金保険に加入する、のいずれかの選択をとることになります。

金融機関への連絡

故人が持っていた金融機関の口座がわかる場合は、取引のある店舗(支店等)に電話などで連絡し、口座名義人が亡くなったことを伝えます。金融機関は口座名義人が亡くなったことを知った時点で口座を凍結する措置をとります。

故人の預貯金は故人が亡くなった瞬間から相続人の共有財産となります。一部の相続人が勝手に引き出すことはできません。一部の相続人が引き出すことができないよう、金融機関は故人の口座を凍結します。

いつ金融機関に口座名義人が亡くなったことを伝えるかですが、相続人の引き出し等のリスクがない場合は、故人が亡くなってから1ヶ月後から2ヶ月後までの間が一般的なタイミングです。

口座が凍結されると身近な方でも預貯金を引き出せなくなります。もし、故人の口座が公共料金の引き落とし口座や家賃振込み用の口座などだった場合は、いずれかの相続人の口座に変更するなどの対応が必要になります。

もっとも、故人が亡くなってから金融機関が亡くなった事実を知るまでには間があります。そして、その間は、事実上、預貯金を引き出すことができます。また、葬儀費用や債務の支払い等で出費がかさみ、故人の預貯金を出費に充てたいと考える方も少なくありません。

そこで、万が一引き出す場合でも、あとで他の相続人に説明できるよう領収書など、何にいくら使ったのかを証明できる書類を保管しておきましょう。原則、葬儀費用等故人が死亡した後の出費は遺産分割の対象とすることができません。しかし、相続人が同意すれば遺産分割の対象として他の相続財産と精算することもできます。

繰り返しになりますが、故人が亡くなった後の預貯金の引き出しはできませんし、おすすめもできません。使途不明の引き出しやあまりにも高額な出費のための引き出しは単純承認したものとみなされ、相続放棄できなくなる可能性もありますので注意が必要です。

なお、手間はかかりますが、法律で、相続開始時の預貯金額の3分の1(1つの金融機関につき上限150万円)までは、他の相続人の同意なしに払い戻しを受けることができる制度が定められています。相続人間のトラブルを避けたい場合はこちらの制度の利用も検討してみましょう。

戸籍等の取得

死亡診断書の写しと同じく相続手続きを通じて必要となる書類が、

○被相続人・相続人の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)
被相続人の住民票の除票
○相続人の印鑑証明書

などです。

戸籍謄本には人の出生日、死亡日のほか、出生から死亡までの身分関係が記録されています。被相続人・相続人の戸籍謄本を精査することで誰が相続人かを確定することができます。後述するとおり、遺言書がない場合は、相続人を確定することが遺産を引き継ぐための手続きの第一歩となります。

住民票の除票は不動産の名義変更をするときに必要です。登記簿(登記事項証明書)上には名義人の住所が記録されているため、登記簿上の不動産が被相続人のものかどうかは、登記簿上の住所と住民票の除票上の住所が一致しているかどうかによって判断されます。

印鑑証明書は遺産分割協議書に印鑑を押すとき、故人の預貯金の残高請求や払い戻し手続きをするときなどに併せて必要です。遺産分割協議書に押すときのに必要な印鑑証明書の有効期限は問われませんが、預貯金の場合は発行から3ヶ月または6ヶ月など、有効期限内のものが求められます。

戸籍謄本と住民票ははやめに取得しても問題ありませんが、銀行に出す印鑑証明書は、上記のとおり有効期限内のものが求められますので取得のタイミングに注意が必要です。また、相続関係が複雑になればなるほど集める書類が多くなり、時間・労力を費やします。ご自分で取得するのが難しい場合は専門家に依頼しましょう

該当する方に必要な手続き

次に、該当する方に必要な手続きについて解説します。中には期限が短い手続きがありますので注意が必要です。

高額療養費の支給申請

高額療養費とは、国民健康保険、後期高齢者医療制度、健康保険の被保険者が、病院や薬局の窓口で払った医療費の額が暦月で一定額を超えたときに、その超えた分の払い戻しを受けることができるお金のことです。

故人が払い戻しの請求ができないままお亡くなりになったときは、その相続人や遺言で被相続人から指定された人(受遺者)が請求できます。請求できるときは、通常、保険者から申請書等の必要書類が送られてきます。手続きするのはそれからでもよいでしょう。

【提出先】
・国保、後期高齢者:被相続人の住所地の市区町村役場
・健康保険:中小企業にお勤めだった方
      →協会けんぽ
      大企業にお勤めだった方
      →健康保険組合
提出書類】
・申請書 
・医療費の領収書
・払い戻し先の通帳
・被相続人との関係がわかる戸籍謄本 など

遺族年金の請求

遺族年金は「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」にわけられます。遺族基礎年金・遺族厚生年金を受給するための要件はそれぞれ細かく設定されていますが、まずは、

遺族基礎年金→故人が国民健康保険に加入していた+子ども(※)がいる
遺族厚生年金→故人が会社に勤め健康保険へ加入していた
※18歳到達年度の末日までの未婚の子または20歳未満で障害等級1級または2級に該当する子

場合に請求できる可能性がある、とおさえておくとよいでしょう。遺族厚生年金を請求できる場合は、同時に遺族基礎年金も請求できる場合が多いです。詳しくはお近くの年金事務所に問い合わせてみましょう。

遺族基礎年金は、お子さんがいる配偶者が受け取るときは「816,000円(満額)+子の加算額(※)」となります。遺族厚生年金は、亡くなった方が会社に勤めていたときの給料や健康保険に加入していた期間などによって異なります。

※1人目および2人目の子の加算額は234,000円、3人目以降の子の加算額は1人あたり78,300円

参照:遺族年金を請求する方の手続き:日本年金機構

寡婦年金・死亡一時金の請求

遺族基礎年金を受給できない場合でも寡婦年金または死亡一時金を受給できる可能性があります。両者とも亡くなった方が自営業者などで国民健康保険にのみ加入していた場合のお金です。寡婦年金は国保に加入していた夫の妻(女性)にのみ支給されます。

寡婦年金 →夫との婚姻期間が10年以上/受給期間は妻が60歳から65歳まで
死亡一時金→国保の保険料納付済期間等が合計3年以上/遺族基礎年金を受け取る人がいない

遺族基礎年金と同じく細かい要件が設定されていますので、気になる方は年金事務所等に問い合わせてみるとよいでしょう。

中高齢寡婦加算・経過的寡婦加算

こちらも寡婦(妻)にのみ支給されますが、亡くなった夫が健康保険に加入していた場合のお金になります。

中高齢寡婦加算は「40歳以上65歳未満の子のない妻」、または子がある場合は「40歳以上65歳未満で遺族基礎年金を受け取ることができない妻」に対して遺族厚生年金に一定額が加算される形で支給されます。

経過的寡婦加算は中高齢寡婦加算の支給が打ち切られて年金が減少する分を補うための制度で、1956年4月1日以前に生まれた方のみが受給できます。

遺産の引き継ぎ、名義変更、解約

次に、故人の遺産を引き継ぐための手続きについて解説します。故人の遺産を引き継ぐための手順は以下のとおりです。

①遺言書の有無を調べる 
(遺言書がある場合)
②遺言書の内容に沿って遺産を引き継ぐ
(遺言書がない場合)
③相続人を調査し確定させる
④遺産を調査し確定させる
⑤相続するかしないかを決める【3ヶ月以内】
⑥遺産の分け方について話し合う(遺産分割協議)
⑦話し合いの結果に基づいて遺産を分け合う 

①遺言書の有無を調べる

まず、故人が遺言書を作っていないかどうかを調べます

故人が遺言書を作っていれば、基本的に遺言書に書かれている内容に従って遺産を引き継ぐことになります。遺言書に書かれた内容に従って遺産を引き継ぐ(②)のか、相続人の話し合い(⑥)によって遺産を引き継ぐのかを見極める意味で、まずは遺言書の有無を調べる必要があります。

遺言書は自筆証書遺言か公正証書遺言によって作られていることがほとんどです。それぞれの遺言によって遺言書の調べ方が異なりますので、遺言の特徴と併せて確認しておきましょう。

②遺言書の内容に沿って遺産を引き継ぐ

遺言書の調査の結果、遺言書が見つかった後の手続きは遺言の種類によって異なります

法務局に保管されていない自筆証書遺言による遺言書の場合は、家庭裁判所での検認という手続きが必要です。一方、法務局に保管されていた自筆証書遺言による遺言書、公正証書遺言による遺言書の場合は不要です。

検認などの手続きを終えたら、遺言書で遺言執行者が指定されているかどうかを確認します。指定されている場合は遺言執行者が遺産の承継手続きを行います。一方、指定されていない場合は、状況により、家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てることができます。また、遺言の内容によっては申し立てなければならないケースもあります。

③相続人を調査し確定させる

遺言書がない場合は誰が相続人となるかを調査し、確定させなければなりません

③以降では遺言書がないことが前提となる手続きであるため、最終的には相続人全員による話し合い(⑥)が必要となります。相続人が一人でも欠けると話し合いは無効なため、話し合いをする前提として相続人を確定させておく必要があります。

誰が相続人となるか(法定相続人)、どの程度の遺産を引き継ぐのか(法定相続分)は法律で定められており、法定相続人が法定相続分に従って遺産を引き継ぐのが基本です。この法定相続人を確定させるには、戸籍等の書類を集めていく必要があります。

④遺産を調査し確定させる

相続人の調査と並行して遺産の調査し確定させておくことも必要です。

話し合いでは故人が持っていた遺産の分け方について話し合います。したがって、前提として、そもそも故人がどんな財産をどれだけもっていたのかを調査し、確定させておく必要があります。漏れていた遺産の価値・重要度等によっては、話し合い自体が無効となる場合があります。

遺産の調査にあたっては遺産ごとに書類を集めていく必要があります。集めた書類から遺産を確定させるための情報(建物の家屋番号、預貯金の口座番号など)や価値(評価額)を知ることができます。遺産は不動産などのプラスの財産のほか、借金(債務)などのマイナスの財産も含みます。

【遺産と集める書類(一例)】

スクロールできます
遺産書類
不動産固定資産税課税明細書、固定資産税評価証明書、名寄帳
預貯金通帳、残高証明書
有価証券取引残高報告書、残高証明書
車検証
債務金銭消費貸借契約書、返済予定表

⑤相続するかしないかを決める【3ヶ月以内】

ある程度、遺産について調査できたら遺産を引き継ぐか引き継がないかを決めます

相続人は故人の死亡と同時に故人の遺産を自動的に引き継いでいます。しかし、借金が多いなどの理由から故人の遺産を引き継ぎたくないと考える相続人もいるでしょう。そこで、故人の遺産を引き継ぐのか引き継がないのかの選択権を相続人に与えているのです。

しかし、この判断ができるのは相続人が自身が相続人となったことを知ったときから3か月以内です。故人の遺産を引き継ぎたくない場合は、この3か月以内に家庭裁判所に対して相続放棄の申述の申し立てをする必要があります。この申し立てをしないまま3か月が過ぎると、遺産を引き継いだものとみなされてしまいます。

⑥遺産の分け方について話し合う

相続人と遺産を確定させたら相続人同士で遺産の分け方について話し合います

相続人が一人でも欠けた話し合いは無効です。ただし、以下の人は相続人とはいえませんので、以下の人を除いて話し合いをすることができます。

  • 相続放棄した人
  • 廃除された人
  • 欠格事由がある人
  • 相続分を他の相続人に譲渡した人
  • 相続分を放棄した人

話し合いのやり方としては、必ずしも相続人全員がひとつの場所に集まって話し合う必要はありません。電話や手紙、メールでやりとりしてもかまいませんが、相続人全員の意思を確認する必要があります。

話し合いがまとまったら、話し合いの結果をまとめた書面(遺産分割協議書など)を作ります。一方、話し合いがまとまらない場合は遺産分割調停(ケースによっては審判)を申し立てて、家庭裁判所のルールに従って話し合いを進めていく必要があります。

⑦話し合いの結果に基づいて遺産を分け合う

最後に、話し合いの結果に基づいて遺産を相続人に引き継ぐ手続きをとります。

たとえば、X、Y、Zの相続人がいて、話し合いの結果、Xが故人名義の不動産を、Yが故人名義の預貯金1000万円のうち500万円を、Zが500万円を引き継ぐことになったとします。

この場合、Xは不動産の名義を故人からXに変える手続き、すなわち、相続登記の手続きをとる必要があります。なお、2024年(令和6年)4月1日から相続登記が義務化されています。正当な理由がなく相続登記を怠ると、10万円以下の過料を科されることがあります。

一方、YとZは、金融機関に必要書類を提出し、故人名義の口座を解約して、500万円を指定する口座に振り込む手続きをとる必要があります。金融機関によって必要となる書類や手続きが異なりますので、あらかじめ確認しながら手続きを進めていく必要があります。

不動産の名義変更、預貯金の振込みが終われば、遺産の引き継ぎは終了です。

税金関係の手続き

最後に、税金(所得税、相続税)関係で必要な手続きについて解説します。

所得税の準確定申告【4か月以内】

所得税の準確定申告とは、確定申告が必要な方が年の途中で亡くなったときに、その相続人などが代わりにする確定申告のことです。相続が始まったことを知った日の翌日から4か月以内に申告しなければなりません。準確定申告が必要な主なケースは以下のとおりです。

・亡くなった方が自営業者、個人事業主だった
・公的年金を受け取っていた
・多額の医療費を支払った
・2カ所以上から給与をもらっていた
・給与や退職金以外の所得(不動産所得など)がある など

なお、公的年金の年金収入が400万円以下で、その他の所得金額が20万円以下の場合は、確定申告は不要です。ただし、多額の医療費を支払ったなどの事由から、所得税の還付を受ける場合は申告が必要です。

準確定申告

【申告先】
亡くなった方の納税地(住所地)の所轄税務署
【必要書類等】
・確定申告書第1表、第2表、付表
・相続人等の身分証明書の写し
・年金、給与の源泉徴収票
・医療費の領収書 など
【提出する人】
相続人・包括受遺者

青色申告の承認申請【4か月以内】

青色申告とは確定申告の方法の一つで、一定のルールに基づいて帳簿をつけて所得税を納税する代わりに、以下の特典が認められる制度です。青色申告に比べてルールが厳格でない白色申告という制度もありますが、ルールが厳格でない分、特典の効力は低いです。

【青色申告の主な特典】
・最大65万円の控除が見とれられる→結果、所得税が安くなる
・家族へ払った給与を経費にできる
・赤字を3年間繰り越せる

故人の事業を引き継ぐ場合は、ゆくゆくは確定申告しなければいけません。そのときのために、原則として故人が亡くなったときから4か月以内に税務署に青色申告承認申請書を提出し、承認を受けておく必要があります。故人が青色申告をしていた場合でも、それが引き継がれるわけではありませんので注意が必要です。

青色申告承認申請

【申請先】
・相続人の納税地(住所地)
【必要書類】
・青色申告承認申請書
【申請期限】
故人が亡くなった日が
・1月1日~8月31日  :亡くなった日から4か月以内
・9月1日~10月31日 :その年の12月31日まで
・11月1日~12月31日:翌年の2月15日まで

相続税の申告【10か月以内】

相続税の申告が必要な場合は、相続税の申告書を作った上で、故人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に税務署に申告書を提出しなければいけません。

相続税がかかるのは「課税遺産総額」と呼ばれる部分です。課税遺産総額は

①相続財産+みなし相続財産+生前贈与財産

から

②小規模宅地の特例+債務・葬式費用+非課税財産
③基礎控除額

を差し引いて算出されます。

この計算式によれば、②・③の額が大きければ大きいほど相続税を申告しなくてよい方向に進みます。「③基礎控除額」は「3000万円+600万円×法定相続人の数」で求められます。つまり、遺産の評価額が3600万円以下の場合は相続税を申告しなくてよいことになり、多くの方がこのケースに該当します。

一方、相続税の申告が必要な場合は、原則として現金で、かつ、一括で納めなければいけません。1日でも期限を過ぎると延滞税を払わなければならないため注意が必要です。なお、遺産の大半を不動産が占めているなど現金一括で相続税を納めることが難しい場合は、例外的に延納や物納が認められることがあります。