【相続財産調査】は自分でできる?調べ方の手順から費用・専門家の選び方


保有資格:R7司法書士試験合格者(2026年中に司法書士事務所を開業予定)、行政書士、ファイナンシャルプランナー(2級・AFP未登録)
取扱予定業務:遺産承継(預貯金、相続登記など)・生前対策(遺言、任意後見、信託など)・民事裁判・離婚
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相続財産調査とは?
相続財産調査とは、故人(被相続人)が遺したプラスの財産およびマイナスの財産を正確に把握するための手続きです。
相続財産は法律上の相続財産と税務上の相続財産があり、それぞれ射程範囲が異なります。相続財産調査ではいずれも調査し、そもそもあるのかないのか、あるとしてどこに、どれだけの財産があるのか、その財産の価値はどの程度か(評価額)を調査する必要があります。
相続財産調査はなぜ必要?
相続財産調査が必要な主な理由は以下のとおりです。
相続放棄するかどうか判断するため
まず、相続方法(単純承認・相続放棄・限定承認)を適切に選択・判断するためです。
相続人は、原則として、故人が亡くなったこと及びご自身が相続人となったことを知ったときから3か月以内に、どの方法を選ぶかの選択をしなければなりません。
もっとも、この選択をするにあたっては、故人の相続財産を調査し、故人がどんな財産をどの程度もっていたのかを正確に把握しておく必要があります。
相続財産には借金などマイナスの財産も含まれるため、一切を引き継がない「相続放棄」や、プラスの財産の範囲内で借金を返す「限定承認」を検討するためにも事前の調査が不可欠です。
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遺産分割を円滑に行うため
次に、遺産分割を円滑に行うためです。
故人が遺言書を作っておらず、かつ、相続財産を相続する相続人が2名以上いる場合は、相続財産の引き継ぎ方、分け方について話し合って決める必要があります。
もっとも、この話し合いにあたっては、話し合いに参加する相続人全員が相続財産を漏れなく把握しておくことが前提となります。
仮に一部でも漏れていると、新たにわかった相続財産について話し合いが必要となったり、場合によっては最初から話し合いをやり直さなければならなくなる場合もあります。
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相続税の申告が必要かどうかを判断するため
最後に、相続税の申告が必要かどうかを判断するためです。
相続税の申告が必要かどうかは、まずは課税対象となる相続財産の価額が基礎控除額(※)を超えるかどうかで判断します。仮に、基礎控除額を超えない場合は申告は不要である可能性が高いです。
もっとも、この判断をするにあたっては相続財産の内容、数量のほか、その相続財産がいかなる価値をもつのか、すなわち、相続財産の評価額まで把握しておく必要があります。
評価額は、預貯金や上場株式などの有価証券については取り寄せる書類に書かれてある金額により明らかですが、土地など評価が難しい財産もあります。
※基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数
相続財産調査はいつまでに終わらせる?
前述のとおり、相続するか否かの判断は、原則として、故人が亡くなったこと及びご自身が相続人となったことを知ったときから3か月以内に行う必要があります。仮に、3か月を過ぎると相続を承認したものとみなされ相続放棄できなくなる可能性があります。
このことからすれば、相続財産調査は故人が亡くなったこと及びご自身が相続人となったことを知ったときから2か月以内に終わらせることが理想です。1か月の余裕を持たせているのは、仮に相続放棄するにしても、手続きを完了するまでにある程度時間が必要だからです。
なお、相続財産が複雑であるなどの理由から、相続財産の調査が3か月以内に終わらない見込みのときは、家庭裁判所に期間延長の申し立てを行い、延長の審判を得る必要があります。期間延長の申し立ては上記の3か月以内にする必要がある点には注意が必要です。
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相続財産の調査方法
調査の対象となりうる相続財産は多岐にわたり、ここですべてを解説することはできません。そこで、ここでは、実際に相続財産となることが多い財産(不動産、預貯金、生命保険、上場株式、投資信託・国債、車、債務)の基本的な調査方法について解説したいと思います。
不動産(土地、建物)
不動産を調査するには以下の書類をチェックすることが基本です。
①固定資産納税通知書
②名寄帳
③権利証(登記済証または登記識別情報)
④公図
⑤登記簿(登記事項証明書)
固定資産納税通知書
固定資産納税通知書は、毎年1月1日の時点で不動産を所有している人に対し、その年の4月から6月にかけて役所から所有者宛に届きます。通常、固定資産納税通知書には「固定資産税課税明細書」が綴られており、この課税明細書で不動産の情報(土地の所在・地番、建物の所在・家屋番号、評価額)がわかります。
なお、課税明細書には公衆用道路(私道)などの非課税不動産は記録されていないことがあります。故人が私道の所有者であるにもかかわらず課税明細書に記録されていない場合は、別の手段(名寄帳など)で特定する必要があります。
名寄帳
名寄帳は、固定資産税の納税義務者が、ある特定の市区町村内に所有している不動産の一覧表です。固定資産課税台帳などとも呼ばれます。
通常、非課税不動産や登記簿に記録されていない未登記建物も記録されており、すべての不動産を把握するのに便利です。もっとも、名寄帳に非課税不動産を記録しない市区町村も一部あるようです。
また、名寄帳は市区町村ごとに作成されます。そもそも、故人が所有していた不動産がある市区町村がわからない場合は名寄帳での把握は難しくなります。この場合は、令和8年(2026年)2月2日から始まった「所有不動産記録証明制度」を使って不動産を調査します。
権利証
権利証は不動産を取得したときに法務局から発行される不動産の権利に関する証明書です。権利証でも不動産の情報を把握できます。
権利証は平成17年の不動産登記法の改正を境に名称と様式が変わりました。平成17年~平成20年までに取得した場合は縦書きの「登記済証」、それ以降に取得した場合は横書きの「登記識別情報通知」です。
過去に故人が売買、贈与、相続などで不動産を取得したことがある場合は、自宅の金庫や貸金庫等に保管している可能性があります。心当たりがある方は探してみるとよいでしょう。
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公図
公図は、登記上の土地の境界や建物の位置を特定するための地図です。法務局に出向いて、あるいはインターネットでその情報を取得することができます。
前述のとおり、名寄帳には非課税不動産が記録されていないことがあります。公図を見ることで私道等の有無を確認でき、仮にあるようであれば、その登記簿を取得することで故人の所有になっていないかも確認できます。
登記簿(登記事項証明書)
固定資産納税通知書、名寄帳、権利証、公図などで故人の不動産を把握することができたら、最後に、登記簿を取得しましょう。登記簿には不動産の情報や権利関係が記録されており、故人の不動産かどうかを公的に証明するものとなります。
登記簿も公図と同じく法務局に出向いて、あるいはインターネットで取得できます。登記簿は共同担保目録付きのものを取得しましょう。共同担保目録とは、複数の不動産を担保に入れたときにつくられる目録で、目録をみることで私道などの持分を把握できることがあります。
現在は、法務局に登録された登記情報が記録された「登記事項証明書」という書面が発行されます。以前は、登記簿という紙で管理されていたため、今でも登記簿と呼ばれることもあります。
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預貯金
故人の通帳をお持ちでないときは、まずは故人の通帳を探すことから始めます。故人が通帳を発行しないネット銀行を使っていた可能性もあります。その場合は、パソコンやスマホのお気に入りなどを見てネット銀行を使っていなかったか確認しましょう。
通帳などから金融機関の支店等を特定できたら連絡します。この電話により金融機関は故人の死亡の事実を知り、口座凍結の措置をとります。凍結の口座が公共料金の引落し口座などになっている場合は事前の対応が必要です。連絡した後は相続のための必要書類を受け取り、相続開始日現在の残高証明書を請求します。
また、残高証明書とあわせて「過去3〜5年分の取引明細書(異動明細書)」も一緒に請求しておくのがおすすめです。過去の入出金履歴を入念にチェックすることで、「本人が把握していなかった借金の引き落とし」や「別の金融機関への送金履歴」、「生命保険料の支払い」など、隠れた財産や債務を見つける重要な手がかりになります。
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生命保険
まずは、保険証券を探しましょう。見当たらない場合はその他の書類を探します。死亡保険金を請求できるのは「被保険者」が「故人」となっている場合です。「契約者」が「故人」でも被保険者が故人以外の場合は、原則として保険契約の承継手続きが必要です。いずれにしても、まずは保険会社に連絡することからはじめます。
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上場株式
故人が証券口座等に証券口座を開設していた場合は、証券会社等から故人宛てに、取引報告書・保有有価証券残高報告書などが定期的に送られてきます。まずは、これらの書類を探し、見つけたときは書類に書かれてある支店に電話して故人が亡くなったことを伝えましょう。その後は、預貯金と同じく残高証明書を請求します。
もし郵便物が見当たらず、どこの証券会社と取引していたか分からない場合は、「証券保管振替機構(通称:ほふり)」に対して「登録済加入者情報の開示請求」を行うのがおすすめです。これにより、故人が口座を持っていた証券会社等を一括で特定することができます。
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投資信託・国債
投資信託、国債についても、まずは証券会社等から送られてきている書類を探してみましょう。探すことができなくても、預貯金の口座に毎月の積立金が引き落とされている記録、国債利息の入金等の記録などがないかどうかチェックしてみましょう。これらの記録から故人が取引していた証券会社等がわかることがあります。
車
車については車検証で故人が車の所有者か使用者かを確認します。車のローンを完済しているときは故人が所有者ですが、返済中の場合はローン会社が所有者、故人が使用者となっています。後者の場合で車を相続したいときは、いったんローンを完済した後に名義変更の手続きをとります。
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債務
借金などの債務を調査する方法としては、以下の方法が考えられます。
①預貯金口座をチェックする
②クレジットカードの取引履歴をチェックする
③登記簿(登記事項証明書)をチェックする
④信用情報機関に照会する
⑤督促状が届いてないかどうかチェックする
預貯金口座をチェックする
故人の通帳をお持ちの場合は定期的な引落しなどがないか履歴を入念にチェックしましょう。通帳をお持ちでないときは、故人の生活圏にある銀行に対して故人名義の口座がないかどうかを尋ねる現存照会を行うことも考えられます。
クレジットカードの取引履歴をチェックする
まずは、カード会社から送られてくる利用明細書がないかどうかを確認します。利用明細書が見当たらない場合はクレジットカードをもとに、カード会社に対して利用明細などの開示請求を行います。また、預貯金口座の履歴からカードの引落しがわかることもあります。
登記簿(登記事項証明書)をチェックする
故人が金融機関などから借金をしていた場合、故人名義の不動産に抵当権などの担保権が設定されていることがほとんどです。担保権は登記簿の「権利部」「乙区」に記録されており、そこに貸主(抵当権であれば抵当権者)の名前も書かれています。貸主に照会できれば借金の額などを確認できます。
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信用情報機関に照会する
信用情報機関とは、ローンなどの契約・返済・延滞などの利用履歴や信用情報を収集・管理・提供している機関です。具体的には、CIC、JICC、KSCという機関に契約内容や支払状況などを照会できます。相続人でも照会できますが、相続関係を証明する書類が必要となります。
督促状が届いていないかチェックする
所得税などの国税であれば税務署から、固定資産税などの地方税であれば役所から、社会保険料であれば日本年金機構などから督促状が本人宛に送られてくるのが通常です。税金や社会保険料の滞納が疑われる場合は、故人宅に督促を促す封書やはがきが届いていないか確認してみましょう。
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相続財産調査を自分でできるケース
相続財産調査はご自分でやることもできます。相続財産調査をご自分でできるケースとしては以下のようなケースが考えられます。
・預貯金口座1つだけなど、相続財産の数が少ない
・相続人の数が少ない
・故人から財産の目録を受けるなどして引き継ぎを受けている
・故人と同居していて、故人の財産はある程度把握している
・故人と同居はしていないが、生活実態はある程度把握している
・書類集め等のために動ける時間がある
・調べながらでも根気よく調査することができる
仮に上記のケースに当てはまるとしてご自分で調査したとしても、たとえば、他人と共有している私道など細かい財産も漏れなくピックアップできるよう細心の注意を払って調査を進めていく必要があります。一方、以下のようなケースではご自分で調査をすることは難しく、専門家に依頼することを検討すべきでしょう。
・相続財産が複数ある、複雑
・相続人の数が多い
・相続人同士の面識がない
・故人とは疎遠で、生活実態がわからない
・故人に借金がありそうだけど、どこにいくらあるのかわからない
・書類集め等のために動ける時間がない
・自分で調査するのは面倒に感じている
・自分で調査するのは漏れがありそうで不安
相続財産調査は誰に頼む?
相続財産調査を専門家に依頼するとしても、弁護士に頼めばいいのか?司法書士に頼めばいいのか?税理士に頼めばよいのか迷われる方も多いと思います。
ところで、相続財産調査の最終目的は何だったでしょうか?それは、この記事の冒頭でも解説したとおり、相続放棄や遺産分割、相続税の申告を適切に行うことでした。
したがって、相続財産調査をどの士業に頼むかどうかは、相続財産の調査を終えた後に士業に何を頼みたいのか、それぞれの士業は何ができて、何を得意としているのかという観点から決めたらよいでしょう。相続財産の調査のみを依頼でいる士業もいると思いますが、多くの士業は上記目的の依頼とセットとしていると思います。
たとえば、弁護士は紛争性のある案件も取り扱うことができる士業です。したがって、今現在、相続人同士で揉めている、揉める可能性がある、はじめから調停や裁判を行う必要がある、という場合は、まずは弁護士に相談した方がよいでしょう。
一方、司法書士、税理士は紛争性のある案件を取り扱うことができません。もっとも、紛争性がなければ、司法書士は、税金のことを除き相続全般の手続きを代行できます。相続税などの税金の申告が必要な場合は税理士と連携して手続きを進めてくれます。
また、税理士は税金のスペシャリストです。税金の申告が必要なことが明らかな場合は税理士に相談するとよいでしょう。なお、税理士は、司法書士と異なり、登記業務を取り扱うことができませんが、登記が必要な場合は司法書士と連携して手続きを進めてくれます。
相続財産調査を専門家に依頼した場合の費用
相続財産調査を専門家に依頼した場合の費用は、「誰に(どの専門家に)」、「どこまで(何を)」依頼するかによって大きく変わります。専門家に支払う費用は、大きく分けて「専門家の報酬」と、戸籍などの書類の取得にかかる「実費」の2つにわかれます。実費は誰に依頼しても同じですが、報酬は依頼先によって異なります。
専門家の報酬相場
一般に、報酬は弁護士→司法書士・税理士→行政書士の順に安くなるイメージですが、あくまで目安としての相場は以下の通りです。
- 行政書士:3万〜10万円程度 比較的安価に依頼できます。相続人間で揉め事がなく、相続税の申告も不要なケースに適しています。
- 司法書士:5万〜15万円程度 財産調査とあわせて、不動産の名義変更(相続登記)までスムーズに一括で任せたい場合に便利です。
- 弁護士:10万〜30万円以上 すでに相続人間でトラブルになっている、あるいは調停や裁判を見据えた代理交渉を依頼する場合、他の士業より高額になる傾向があります。
- 税理士:調査単体ではなく「相続税申告」とセットで依頼するのが一般的です。(※相続税申告の報酬相場は、遺産総額の0.5〜1%程度とされることが多いです)
報酬が高額となる主な要因
「基本料金〇万円〜」と設定されていても、以下のようなケースでは手続きの手間が増えるため、追加費用が発生することが多くなります。
- 調査する金融機関の数が多い(「1行追加ごとに+〇万円」という料金体系が一般的です)
- 不動産が多数ある、または遠方にある
- 相続人の数が非常に多い(戸籍収集の難易度が上がり、実費もかさみます)
また、相続財産調査だけでなく、そのまま引き続いて「相続放棄」「遺産分割協議書の作成」「預貯金の解約手続き」「相続登記」などをセットで依頼する場合は、その分の費用が上乗せされます。
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依頼する前の注意点:見積もりを取る
費用について不安がある場合は、正式に依頼する前に必ず見積もりを出してもらいましょう。その際、「提示された見積もりに実費は含まれているか」「後から追加費用が発生する条件は何か(例:後から口座が見つかった場合など)」をしっかり確認し、疑問点を完全に解消した上で依頼することが、後々のトラブルを防ぐポイントです。

保有資格:R7司法書士試験合格者(2026年中に司法書士事務所を開業予定)、行政書士、ファイナンシャルプランナー(2級・AFP未登録)
取扱予定業務:遺産承継(預貯金、相続登記など)・生前対策(遺言、任意後見、信託など)・民事裁判・離婚

