遺贈の税金 | 受遺者別の違いとトラブルを防ぐ3つの注意点

遺言書で財産を無償で譲る「遺贈」は、相続人以外にも財産を残せる制度です。しかし、税金には注意が必要です。誰に遺贈するかによって相続税が2割増しになったり、遺族に所得税がかかったりと、思わぬ落とし穴が潜んでいます。
この記事では、遺贈にかかる税金を受遺者(個人・法人・団体)ごとにわかりやすく比較し、残されたご家族や受遺者が困らないための必須知識についてわかりやすく解説します。

保有資格:R7司法書士試験合格者(2026年中に司法書士事務所を開業予定)、行政書士、ファイナンシャルプランナー(2級・AFP未登録)
取扱予定業務:遺産承継(預貯金、相続登記など)・生前対策(遺言、任意後見、信託など)・民事裁判・離婚
遺贈とは?基礎知識と税金の関係
遺贈とは、遺言者が遺言書によって、自分の財産を特定の人や団体に無償で譲ることを指します。
相続は、法律で定められた相続人(配偶者や子どもなど)が財産を受け継ぐ制度ですが、遺贈は、法定相続人以外の人(孫、息子の妻、介護でお世話になった友人など)や、法人・NPO団体・自治体などに対しても財産を引き継ぐことができるのが最大の特徴です。
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遺贈と税金の関係
このように、自分の意志で財産を引き継ぐことができる遺贈ですが、財産を無償で受け取る側(受遺者)には税金がかかります。 遺贈でかかる税金は基本的には「相続税」ですが、「誰に」「何を」遺贈するかによって、かかる税金の種類や計算方法が大きく変わるため注意が必要です。
【受遺者別】遺贈にかかる税金の違い
それでは、ここでは、財産を遺贈する相手によってかかる税金がどのように違ってくるのか見ていきましょう。
【1】法定相続人の場合
まず、受遺者が配偶者や子どもなどの法定相続人である場合です。この場合、遺贈によって受け取った財産には、通常の相続と同じく「相続税」がかかります。
相続税には「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」という基礎控除枠があるため、遺産総額がこの控除額の範囲内であれば、税金を支払う必要はありません。
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【2】法定相続人以外の個人の場合
次に、孫や友人、息子の妻、内縁の配偶者など、法定相続人以外の個人が遺贈を受ける場合です。
この場合もかかるのは「相続税」ですが、注意点は「相続税の2割加算」が適用されることです。つまり、本来計算された相続税額よりも2割高い金額を納めなければなりません。また、非課税枠である基礎控除を計算する際の「法定相続人の数」にはカウントされない点にも注意が必要です。
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【3】法人(営利企業)の場合
次に、株式会社などの営利企業(法人)に遺贈をする場合です。
法人が財産を受け取る場合、個人ではないため相続税ではなく「法人税」が課税されます。さらに、ここで最も気をつけたいのが、遺族に降りかかる「みなし譲渡所得税」です。不動産や株式を法人に遺贈すると、税務上は「時価で売却して利益を得た」とみなされ、亡くなった方に所得税が発生します。この税金は、残された相続人が代わりに準確定申告をして支払う義務を負ってしまい、相続人に想定外の負の遺産を残してしまうことになります。
【4】公益法人・NPO法人の場合
次に、国や地方自治体、特定の要件を満たした公益法人や認定NPO法人などに遺贈(いわゆる遺贈寄付)をする場合です。
このような社会貢献を目的とした特定の団体への遺贈では、原則として相続税が「非課税」となります。また、所定の期間内に手続きを完了させることで、先ほどの【3】で挙げたような遺族にかかる「みなし譲渡所得税」も非課税となる特例が用意されています。
遺贈された財産が「不動産」の場合にかかる税金
次に、何を遺贈するかによってどんな税金がかかるかを見ていきましょう。遺贈する財産とは不動産です。
【1】登録免許税
まず、不動産の名義変更の際ににかかる登録免許税です。
遺贈によって不動産を引き継いだ場合、受遺者が法定相続人であれば、税率は固定資産税評価額の「0.4%」となります。しかし、法定相続人以外の人の場合は税率が「2.0%」となり、実に5倍もの税金がかかってしまいます。同じ不動産を譲り受ける場合でも、相手の立場によって名義変更のコストが大きく変わる点に注意が必要です。
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【2】不動産取得税
次に、不動産を取得したことに対して都道府県に納める不動産取得税です。
遺贈には、財産の割合を指定する「包括遺贈」と、特定の財産を指定する「特定遺贈」があります。包括遺贈の場合や、受遺者が法定相続人である場合は、不動産取得税はかかりません。しかし、法定相続人以外の人が「特定遺贈」で不動産を受け取った場合は課税対象となり、固定資産税評価額の3〜4%という決して安くない税金を納める必要があります。
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遺贈で税金トラブルを避けるための3つの注意点
遺贈は、受遺者や残された遺族に思わぬ税負担が生じる可能性があります。大切な財産をスムーズに引き継ぐために、必ず押さえておきたい3つの税務上の注意点を解説します。
【注意点1】相続税の2割加算を考慮しておく
まず、相続税の2割加算を考慮しておくことです。
法定相続人以外の人に財産を遺贈する場合、通常よりも相続税が2割増しになります。もし不動産だけを遺贈した場合、受贈者は高額な相続税を納めるための現金を用意できないことも考えられます。受贈者の税負担のことも考えながら、必要によっては、税資金として現金も一緒に遺贈するなどの配慮が必要です。
なお、税金の支払いが困難であるなどの理由で、受遺者側が財産の受け取りを辞退したい場合は「遺贈の放棄」を選択することも可能です。
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【注意点2】法人への遺贈は遺族にかかる「みなし譲渡所得税」に注意
次に、法人への遺贈に伴って遺族が負担しなければならない「みなし譲渡所得税」に注意することです。
不動産や株式などを法人に遺贈すると、税務上は時価で売却したものとみなされ、遺言者に所得税が発生します。そして、その納税義務は残された相続人が引き継ぐことになります。財産を引き継がなかった遺族が自腹で高額な税金を納めなければならないという理不尽な状況を生み出してしまうため、法人への遺贈は専門家を交えて慎重に進める必要があります。
【注意点3】遺言執行者を指定しておく
次に、遺言書の中で、死後の手続きを進める遺言執行者を指定しておくことです。
遺贈における税金の計算や申告、不動産の名義変更などは専門的で複雑です。また、親族以外の第三者に財産が渡ることで、遺族との間で感情的なトラブルに発展するリスクもあります。あらかじめ税理士や弁護士などの専門家を遺言執行者に指定しておくことで、複雑な税務処理を正確に行い、親族間での無用な争いを防ぐことができます。
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遺贈の税金の申告方法と期限
相続税、所得税(準確定申告)には期限が設けられています。期限を過ぎてしまうと、ペナルティとして加算税や延滞税が課されるおそれがあるため、早めの準備が必要です。
【1】相続税の申告・納付期限(10ヶ月以内)
受遺者が個人(法定相続人や孫・友人など)で相続税が発生する場合、申告と納付の期限は「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から「10ヶ月以内」です。
- 申 告 先: 被相続人(亡くなった方)の最後の住所地を管轄する税務署
- 申告する人: 財産を取得した受遺者および相続人
相続税申告をする前提として引き継いだ遺産の評価をする必要がありますが、遺産の評価やその他の手続きであっという間に10か月を迎えてしまいます。遺贈を受けたことを知ったら速やかに手続きを進める必要があります。
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【2】準確定申告の期限(4ヶ月以内)
法人への遺贈などで「みなし譲渡所得税」が発生する場合、被相続人の代わりに所得税の確定申告を行う「準確定申告」が必要になります。こちらの期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から「4ヶ月以内」です。
- 申 告 先: 被相続人の最後の住所地を管轄する税務署
- 申告する人: 相続人(遺族)
相続税の期限(10ヶ月)よりも大幅に短いため、法人へ遺贈する場合は遺族が迅速に対応できるよう、事前に計画を立てておくことが重要です。

保有資格:R7司法書士試験合格者(2026年中に司法書士事務所を開業予定)、行政書士、ファイナンシャルプランナー(2級・AFP未登録)
取扱予定業務:遺産承継(預貯金、相続登記など)・生前対策(遺言、任意後見、信託など)・民事裁判・離婚


