【相続】名寄帳とは?必要書類から取得方法、正しい見方まで徹底解説

名寄帳とは

名寄帳とは、固定資産税の納税義務者が、ある特定の市区町村内に所有している不動産の一覧表です。

固定資産税が課税される不動産(土地・建物)は、市区町村ごとに固定資産税台帳という帳簿で管理されています。この固定資産税台帳には、納税義務者の氏名・住所、土地の地番・地目・地積、建物の家屋番号・床面積などが書かれており、これを不動産の所有者ごとにまとめたものが名寄帳です。固定資産税は地方税であるため、その帳簿も市区町村の役場で管理することとなっています。

なお、市区町村によっては「土地・家屋名寄帳」、「土地・家屋課税台帳」、「名寄帳兼課税台帳」などとも呼ばれますが、基本的には名寄帳と同じと考えてよいです。

故人が不動産を所有しているなら名寄帳は必須

故人が不動産を所有している場合は名寄帳の取得は必須です。

故人がお亡くなりになったら故人の財産を相続するのか放棄するのかを決めなければなりませんが、その判断をするにあたっては故人の財産を調べて把握する必要があります。

一部の市区町村を除き、名寄帳には非課税不動産を含め故人がその市区町村に所有している不動産がすべて記録されていますから、故人が所有している不動産を把握するのにとても便利です。

なお、毎年4月から6月にかけて、市区町村から届く「固定資産税納税通知書」にも故人が所有している不動産が記録されています。しかし、この通知書には非課税不動産や未登記不動産などが記録されていません。

相続手続きを進めるあたっては故人の財産を漏れなく把握する必要があり、納税通知書のみでは漏れが出てきてしまう可能性があります。この漏れを防ぐために名寄帳を取得する必要があります。

名寄帳の取得方法

名寄帳の取得方法は以下のとおりです。

申請できる人

名寄帳を申請できるのは納税義務者(毎年1月1日時点の登記簿上の所有者)本人ですが、納税義務者がお亡くなりになった場合は以下の人も請求できます。

  • 法定相続人
  • 遺言により財産を譲り受ける人(受贈者・受遺者※遺言の内容や役所によっては単独での請求が認められない場合があります)
  • 遺言執行者
  • 申請できる方から委任を受けた代理人

法定相続人とは、法律で相続人であることが決められている人です。たとえば、夫・妻・子(1人)の3人家族で、夫が亡くなった場合は妻、子が名寄帳を請求できます。子が生存しているときは、夫の両親や兄弟姉妹は子よりも後順位の相続人となるため請求できません。

準備する書類

申請するにあたって準備する一般的な書類は以下のとおりです。なお、市区町村によって異なる場合があるため、あらかじめネット等で確認しておきましょう。

【共通して必要となるもの】

  • 申請書
  • 申請者の身分証明書
  • 手数料(無料~300円)

【郵送で申請する場合】

  • 手数料分の定額小為替
  • 切手付きの返信用封筒

【法定相続人が申請する場合】

  • 故人の死亡の事実がわかる書類((除籍)戸籍謄本・住民票の除票)
  • 申請者が故人の相続人であることがわかる書類(戸籍謄本・法定相続情報一覧図)

【受贈者が申請する場合】

  • 故人の死亡の事実がわかる書類
  • 遺言書(公正証書遺言・検認済みの自筆証書遺言)

【代理人が申請する場合】

  • 委任状

⚠️ 注意:故人が過去に引っ越しをしており、役所側の固定資産税データに登録されている住所が古いままになっていることがあります。この場合、現在の戸籍や住民票(除票)だけでは「名寄帳に載っている人物」と「故人」が同一人物であることを役所に証明できず、名寄帳の発行を断られることがあります。 故人の住所のつながりが証明できない場合は、過去の住所履歴が記載されている「戸籍の附票」もあわせて準備しておくと安心です。

申請先

名寄帳の申請先は不動産がある市区町村の役場です。法務局ではないため注意が必要です。

なお、名寄帳は市区町村ごとに管理されています。そのため、たとえば、A市とB市にそれぞれ不動産をもっている場合は、A市とB市、それぞれに申請する必要があります。

申請方法

申請方法は「窓口」申請「郵送」申請の2つです。それぞれのメリット、デメリットを抑えた上で、都合のよい方法を選択するとよいでしょう。

●窓口申請
【メリット】
・その場で受け取ることができる
・その場で申請書の書き方や書類の不備を教えてもらえる
【デメリット】
・役場の窓口まで足を運ぶ必要がある
●郵送申請
【メリット】
・窓口に足を運ぶ必要がない
【デメリット】
・申請から受け取るまでに時間がかかる
・書類に不備等があると再提出等が必要となる

名寄帳の見方

名寄帳には様々なことが書かれていますが、故人の不動産を特定する、相続手続きを進めるという点からは以下の箇所は必ずチェックするようにしましょう。

地番(所在)・家屋番号

相続手続きにおいて、土地については地番で、建物については家屋番号で特定します。地番とは土地を特定するため、家屋番号は建物を特定するために法務局がつけた番号です。住所とは異なることに注意が必要です。

地目

地目とは土地の用途のことです。地目のうち登記地目は登記簿上の地目、現況地目は土地の現況にあった地目です。希に両者が異なるときがあります。地目が公衆用道路のときは、固定資産税納税通知書には記録されていなかった土地である可能性があります。

地積・床面積

地積は土地の面積床面積は建物の床面積です。地目と同じく登記地積・現況地積、登記床面積・現況床面積が書かれています。登記床面積よりも現況床面積の方が広い場合は建物が増築されている可能性があり、登記簿の建物に関する表題部の変更登記という手続きが必要です。

固定資産税評価額(価格)

固定資産税評価額は、土地・建物の固定資産税・都市計画税の算定基礎となる評価額です。単に「価格」と書かれている名寄帳もあります。法務局に不動産登記を申請する際に登録免許税を納めなければいけませんが、その登録免許税を計算するときにも使います。

名寄帳の注意点

最後に名寄帳に関して注意していただきたいことに関して解説します。

1月1日時点での情報が記録されている

まず、名寄帳には毎年1月1日時点での情報が記録されているということです。これは、固定資産税の納税義務者を判定する基準が、毎年1月1日時点の登記簿上の所有者とされているからです。

したがって、1月1日以降に不動産を売買、贈与などしているときは、名寄帳には対象となった不動産が記録されていません。この場合は登記簿や契約書などで対象となった不動産を把握する必要があります。

市区町村ごとに作成される

次に、名寄帳は市区町村ごとに作成されることです。たとえば、故人がA市とB市に不動産を所有していたとします。この場合、A市の名寄帳にはB市の不動産は記録されていません(逆も同じです)。

「故人がどの市区町村に不動産を所有していたかわからない」という場合は名寄帳を取得することが難しくなります。この場合は、所有不動産記録証明制度を活用するなどして故人の不動産を探すことになります。

ただし、所有不動産記録証明制度は不動産を「特定」するためのものであり、名寄帳と違って固定資産税評価額までは一覧で確認できません。そのため、「まずは法務局の制度で物件を特定し、その後に該当する市区町村で名寄帳(または評価証明書)を取得する」という流れになる点に注意しましょう。

名寄帳を作成していない役場もある

次に、必ずしもすべての役場で名寄帳という名称での発行を行っていない役場もあります。その場合は、固定資産課税台帳の写しや、公課証明書を請求することで同様の一覧を確認できます

法人名義の不動産は記録されていない

次に、法人名義の不動産は故人の名寄帳には記録されていないことです。法人と故人はあくまで別人格だからです。法人名義の不動産がある場合は、法人を納税義務者とした名寄帳を取得する必要があります。

共有名義の不動産は別枠で管理されていることがある

最後に、故人が誰かと共同で所有していた不動産がある場合の注意点です。 市区町村によっては、単独名義の不動産(例:山田太郎)と、共有名義の不動産(例:山田太郎 外1名)を別々の名寄帳として管理・出力していることがあります。

窓口や郵送で請求する際、単に「名寄帳をください」とだけ言うと、単独名義分しか発行されず、共有名義の土地や建物が漏れてしまう可能性があります。申請の際には必ず「共有名義のものも含めてすべて出力してください」と書き添えるか、窓口で伝えるとよいでしょう。