【車の相続】名義変更はなぜ必要?目的別の手続きと必要書類まとめ

なぜ車の名義変更が必要か?

車の名義変更の手続きについて解説する前に、まず、そもそもなぜ車の名義変更手続きが必要なのかについて解説します。

【1】法律で決められているから

まず、以下のとおり、道路運送車両法という法律で所有者の変更があったときは名義変更(所有権の移転登録)が義務づけされているからです。

道路運送車両法
(移転登録)

第十三条 新規登録を受けた自動車(以下「登録自動車」という。)について所有者の変更があつたときは、新所有者は、その事由があつた日から十五日以内に、国土交通大臣の行う移転登録の申請をしなければならない。

この期間内に名義変更しなかった場合は50万円の罰金に処せられる可能性があります。なお、相続における「その事由があった日」とは、相続が始まった日(故人が亡くなった日)ではなく、相続人間で遺産分割協議をして車を引き継ぐ人が決まった日のことを指します。よって、その日から15日以内に名義変更すれば罰金を科されることはありません。

【2】様々な場面で支障が出るから

次に、車の名義変更をしなければ様々な場面で支障が出てくるからです。

たとえば、将来、車を売ろうと思ったとき、名義変更していないと、車を売る前にまずは名義変更を求められるでしょう。故人名義のままだと誰に車を売る権限があるのかわからず、相手は安心して取引できないからです。

また、自動車税の納税通知書は、原則として毎年4月1日時点の車検車上の所有者宛に送られます。しかし、名義変更していないと通知書が送られてこず、結果として税金を滞納してしまう可能性もあります。

他にも、税金を納めていないと延滞金が発生する、車検を受けることができないなど、様々な支障が生じてしまいます。面倒なことにならないうちに名義変更を済ませておくことをおすすめします。

【目的別】相続した車はどうする?

相続した車をそのままご自身やご家族が「乗る」ケースもあれば、誰も乗らないため「売却する」、あるいは古くて動かないため「廃車にする」ケースもあるでしょう。実は、どの目的であっても原則として「いったん代表して車を引き継ぐ相続人へ名義変更(移転登録)を行う」必要があるというルールは同じです。目的別に注意点を確認しておきましょう。

【目的1】引き続き「乗る」場合

車を引き続き乗る場合は、本記事で解説する流れに沿って、ご自身(または車を引き継ぐ相続人)への名義変更手続きを行います。名義変更が完了した後に、自賠責保険や任意保険の引き継ぎ(または新規加入)を行えば、今後も安心して公道を走ることができます。

【目的2】「売却(買取・下取り)」する場合

故人名義のままでは、車を第三者へ売ることはできません。そのため、「故人➞相続人」へ名義変更を行ってから、「相続人➞買取業者(または次の購入者)」へ名義変更するというステップを踏む必要があります。 ただし、実務上は相続に必要な書類を買取業者に渡すことで、相続による名義変更と売却の手続きを同時に進めてもらえることがほとんどです。

【目的3】「廃車(抹消登録)」にする場合

車を解体して手放す場合でも、故人名義のまま勝手に廃車手続きを進めることはできません。原則として、いったん相続人へ名義変更をした上で、廃車手続き(一時抹消登録や永久抹消登録)を行うことになります。 こちらも売却と同様、解体業者に必要な書類を渡して依頼することで、相続に伴う名義変更と廃車手続きを同時に進めることができます。

💡査定額100万円以下の車なら手続きが簡単に!
「売る(または廃車にする)だけなのに、相続人全員と話し合って実印や印鑑証明書を集めるのは大変…」と思われるかもしれません。 しかし、普通車の査定額が100万円以下の場合は、「遺産分割協議成立申立書」という簡略化された書面を使うことで、車を引き継ぐ代表相続人お一人の実印と印鑑証明書のみで手続きを済ませることができる特例があります。車を手放す際にはぜひ活用したい制度です。

車の名義変更前に必要な手続き~車庫証明

ご存じのとおり、車を保有するには車の保管場所(車庫)が必要で、原則として、管轄の警察署から「自動車保管場所証明書」という書類を発行してもらいます。これが俗にいう車庫証明というものです。

車庫証明は車検証上の記載事項(所有者の氏名・住所、使用の本拠の位置など)に変更があった場合や所有者に変更があった場合などに必要です。相続の場合は所有者が変わるため、原則として車庫証明が必要です。

もっとも、保管場所に変更がなく、かつ新旧使用者の「使用の本拠の位置」に変更がない場合は車庫証明は不要です。故人と同居していた相続人が同じ駐車位置のまま車を相続する、というような場合です。

相続で車の名義変更するまでの流れ

相続において車の名義変更するまでの流れは以下のとおりです。

【ステップ1】車検証を確認する

まずは、車検証を見て所有者が故人であるかどうかを確認します。なお、車検証は2023年(令和5年)1月4日(軽自動車は2024年1月4日)より、徐々に電子車検証に移行しています。非電子車検証はA4サイズ、電子車検証はA6サイズなのが特徴です。

非電子車検証でのチェックポイント

非電子車検証には「所有者の氏名又は名称」、「使用者の氏名又は名称」の欄があります。この「所有者の氏名又は名称」の欄に故人の氏名が書かれていたら、故人がその車の所有者ということになります。一方、「使用者の氏名又は名称」の欄に故人の氏名が書かれていたら、故人はその車の所有者ではありません。この場合、『所有者の氏名又は名称』の欄には、ローン会社や自動車販売店やの名称が書かれていることが多いです。

ローン会社の名称が書かれている場合はまだ車のローンが残っており、それが故人がお亡くなりになったのと同時に相続人に引き継がれた形となっています。もし、ローンを引き継ぎたくない場合は相続放棄を検討しなければなりません。一方、車を引き継ぐことを優先させたい場合はローンを返済した上で、名義をローン会社から車を相続する相続人に変更する手続き(いわゆる「所有権解除」の手続き)をとる必要があります。まずはローン会社やディーラーに連絡し、所有権解除に必要な書類を取り寄せましょう。

電子車検証でのチェックポイント

非電子車検証と違い、電子車検証には「所有者の氏名又は名称」、「使用者の氏名又は名称」の欄がありません。これは、電子車検証では、個人情報の保護の観点から、個人情報にあたる氏名などの情報は紙面ではなく、ICタグに格納されるようになったからです。

もっとも、電子車検証では、車検証とともに「自動車検査証記録事項」という書面が渡されることになっており、この書面に「所有者の氏名又は名称」、「使用者の氏名又は名称」が書かれています。確認すべきことや、注意事項は非電子車検証の場合と同じです。

【ステップ2】車を相続する人を決める

車検証で個人が所有者であることを確認できた(あるいは、ローン完済の目処をたてた)ら、次は、車を引き継ぐ人(共有は避けた方がよい)を決めます。なお、故人が遺言書を作っていた場合は、原則、遺言書に書かれてあることが優先されます。話し合いを行う前に遺言書がないか確認しておきましょう。

遺言書がないことを確認できたら、相続人で話し合いをして誰が車を引き継ぐかを決めます。車以外にも相続する財産がある場合はその財産も含めた話し合いを行います。話し合いが成立したら遺産分割協議書を作ります。遺産分割協議書はのちの名義変更の手続きで使うことがあります。

一方、話し合いが成立しない場合は家庭裁判所に調停を申し立てることを検討します。調停も話し合いの場ですが、調停委員という第三者が相続人の間に入るのが特徴で、相続人だけで話し合うよりかは話がまとまる可能性があります。

【ステップ3】車の名義変更手続きをする

車を引き継ぐ人が決まったら、車の名義変更の手続きを進めます。冒頭で述べたとおり、遺産分割協議で決めた場合は協議成立の日から15日以内に手続きする必要があります。

①必要書類を準備する

まず、手続きをするにあたって必要な書類を準備します。遺産分割協議で車の名義変更をする際に必要となる書類は以下のとおりです。

  • 申請書
  • 手数料納付書
  • 車検証
  • 相続関係がわかる戸籍
    ・故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
    ・相続人全員の戸籍謄本
    (これらに代えて「法定相続情報一覧図」でも可)
  • 遺産分割協議書(相続人全員の実印を押印したもの)
  • 新所有者の印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)
  • 車庫証明書(証明日から1か月(or40日)以内のもの)

申請書、手数料納付書は運輸支局等で入手できますが、インターネットからダウンロードすることもできます。遺産分割協議書については、申請人が相続する車の価格が100万円以下であることを確認できる査定証等を提出した場合に限り、遺産分割協議成立申立書という書面に代えることができます。車庫証明書の有効期限は運輸支局等により異なるため、事前の確認が必要です。

②管轄の運輸支局等に行く

必要書類を準備できたら、申請のため管轄の運輸支局(又は自動車検査登録事務所)へ行きます。ここで管轄の運輸支局等は「使用の本拠地」を管轄する運輸支局等です。

使用の本拠地とは、車の所有者(又は使用者)が日々車を管理し、運行の拠点として使用している場所です。故人であれば住民票上の住所が使用の本拠にあたることが多いでしょう。

管轄の運輸支局等は「全国運輸支局等のご案内ー自動車検査登録総合ポータルサイトー国土交通省」でもご確認いただけます。

③申請・車検証を受け取る

管轄の運輸支局等に着いたら申請書を入手し、登録手数料(500円)用の印紙を購入します。印紙は手数料納付書に貼ります。手数料納付書も運輸支局等で入手できます。

申請書に必要事項を書いて必要書類とともに窓口に提出します。通常、審査には30分から60分くらいかかりますが、混み具合によっては2時間程度かかることもあります。

無事に車検証を交付されると、次に自動車税の納税義務者の変更手続きに関する案内をされます。運輸支局等の敷地内に併設されている自動車税の事務所で、納税義務者を故人から相続人に変更する手続きをとります。

なお、自動車税の納税義務者はその年の4月1日の車の所有者(又は使用者)です。したがって、同日以前に名義変更している場合は相続人が、同日以降に名義変更する場合は故人が納税義務者です。

後者の場合で、自動車税が未納の場合は相続人がその債務を引き継ぎます。相続放棄しない限り、相続人が自動車税を納めなければいけませんが、一般的には車を相続する方が納税することになるでしょう。

相続で車の名義変更するまでの流れ~軽自動車編

軽自動車の名義変更の基本的な流れは普通車と同じです。

しかし、車庫証明のタイミングが異なります。普通車の場合はあらかじめ警察署で取得しますが、軽自動車の場合は名義変更の『後』に警察署へ届け出ます(※お住まいの地域によっては届出自体が不要な場合もあります)。

また、名義変更する手続きする場所も異なります。軽自動車の場合は、各都道府県に事務所がある軽自動車検査協会で手続きでします。さらに、軽自動車の場合、必要書類としての遺産分割協議書が必要ありません。

車の名義変更以外に必要な手続き

最後に、車の名義変更以外に必要な手続きについて解説します。

自動車税の納税義務者の変更手続き

すでに解説したとおりです。車検証を受け取ったときに案内されると思いますので、手続きを忘れることはないでしょう。

自賠責保険の承継手続き

車の名義変更を行った後、ご自分で自賠責保険の保険会社に連絡し、保険契約者たる地位を引き継ぐ手続きが必要です。連絡した際は必要書類などを確認しましょう。保険会社は車検証のファイルに一緒に挟まれている自賠責保険証明書に書かれてあります。証明書が見当たらない場合は、車検を受けた工場や車を購入したディーラーなどに問い合わせてみましょう。

任意保険の承継手続き

故人が車の任意保険に加入していた場合は、自賠責保険と同じく、保険契約者たる地位を引き継ぐ手続きが必要です。相続であっても、同居の家族であれば等級を引き継ぐことができる可能性があります。保険会社は保険証券のほか、保険料が引き落とされている銀行口座やクレジットカードの利用明細からわかることもあります。承継の手続きは車の名義変更が終わった後に行います。

ナンバープレートの変更

たとえば、故人の使用の本拠が長崎県にあったものの、車を相続する相続人の使用の本拠が福岡県となる場合など、使用の本拠が変わる場合はナンバープレートの変更が必要です。ナンバープレートの変更が必要な場合は、車の名義変更の手続きをする日にナンバープレートを付け替える必要があるため、車も運輸支局等へ持ち込む必要があります。なお、ナンバープレート代として別途1,500円〜2,000円程度(地域により異なる)の費用がかかります。希望ナンバーのプレートを希望する場合は事前の手続きも必要です。

    【車の相続】名義変更はなぜ必要?目的別の手続きと必要書類まとめ” に対して1件のコメントがあります。

    コメントは受け付けていません。