【死亡時】口座凍結とは?凍結がわかる方法と解除の手順を解説


保有資格:R7司法書士試験合格者(2026年中に司法書士事務所を開業予定)、行政書士、ファイナンシャルプランナー(2級・AFP未登録)
取扱予定業務:遺産承継(預貯金、相続登記など)・生前対策(遺言、任意後見、信託など)・民事裁判・離婚
口座凍結とは?
口座凍結とは、口座名義人の死亡により、その金融機関の口座における入出金や引き落としなどの取引が一切できなくなることを指します。
金融機関が口座凍結する最大の理由は、「相続財産(遺産)を守り、相続人同士のトラブルを防ぐため」です。 預貯金は、口座名義人が死亡した瞬間に「相続人全員の共有財産」となります。もし口座がそのまま利用できる状態だと、一部の相続人が勝手に預金を引き出してしまい、後々「勝手に使い込まれた」などといった相続人同士のトラブルに発展する恐れがあります。こうした自体を防止したいというのと、金融機関としてもこのような自体に巻き込まれたくないという思いがあるため、金融機関は口座凍結という措置をとります。
口座凍結されると、以下の取引がすべてストップしてしまいます。
- 現金の引き出し・預け入れ(入金)
- 公共料金、家賃、クレジットカード等の自動引き落とし
- 口座への振り込み受け取り(給与や家賃収入など)
- 定期預金の解約など
💡特に注意が必要なのは「引き落とし」です。故人の口座から引き落とされていた料金は、口座凍結によって引き落としができなくなり、滞納扱いになってしまう恐れがあります。そのため、引き落としの内容に応じて速やかに以下の対応を行ってくだい。
・水道光熱費(同居家族が継続して利用する場合)
→口座凍結される前に速やかに各契約会社へ連絡し、支払い方法の変更(別口座やクレジットカードの登録)を行ってください。※故人が一人暮らしだった場合は「解約(利用停止)」の手続きが必要です。
・スマートフォンやインターネット通信費
→ご家族が契約を引き継ぐ場合を除き、原則として速やかに「解約」の手続きを行ってください。
・【※要注意】ローンの返済について
住宅ローンの場合、「団体信用生命保険(団信)」によって以降の支払いが免除される可能性が高いため、まずは借入先の金融機関へ確認してください。また、カードローンなどの借金について、遺族が焦って自分の口座や財布から代わりに支払ってしまうと、法律上「すべての遺産(借金含む)を相続する」とみなされ、後から相続放棄ができなくなる可能性があります。自己判断での支払いや名義変更は絶対に避けてください。
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口座凍結されるタイミング
口座凍結されるのは、金融機関が口座名義人の死亡の事実を知ったときです。では、金融機関はどのタイミングで口座名義人の死亡の事実を知るのでしょうか?この点、よくある誤解として「役所に死亡届を出したら、自動的に金融機関にも連絡がいく」と思われがちですが、役所から金融機関へ死亡の事実が通知されることはありません。金融機関が口座名義人の死亡の事実を知るのは、主に以下のタイミングと言われています。
【1】相続人や親族等から連絡を受けたとき
相続人から金融機関へ「口座名義人が亡くなった」と電話などで連絡を入れた時点で、直ちに口座は凍結されます。
【2】新聞のお悔やみ欄、報道などを見たとき
金融機関の担当者が新聞のお悔やみ欄、ニュースなどの報道、または葬儀会場の立て看板などを通じて、口座名義人の死亡の事実を知った場合にも凍結されます。
【3】税務署からの照会を受けたとき
相続税に関する事前調査などで税務署から金融機関に対して照会が入り、それによって死亡の事実が判明したときに凍結されます。
【4】関連の金融機関から連絡を受けたとき
たとえば、故人が住宅ローンやカードローンを組んでいた場合、提携している保証会社や生命保険会社が死亡の事実を知り、そこから借入先の金融機関へ連絡がいって口座が凍結される、ということがあります。なお、個人情報保護の観点から、関係がない金融機関同士で死亡の情報が共有されることはありません。
【5】残高証明書の発行申請をしたとき
遺産分割協議や相続税の申告のために、金融機関に死亡日時点の「残高証明書」の発行を申請したタイミングでも口座は凍結されます。相続人としては「残高だけ知りたい」という考えであっても、金融機関側は残高証明書の請求を受けた時点で「口座名義人が死亡した」という事実を認識するため、そのタイミングで口座凍結されてしまいます。
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口座凍結されたか「わかる方法」
金融機関からご遺族に対して「口座凍結しました」という通知や連絡が来ることは、原則としてありません。そのため、口座凍結されているかどうかはご遺族自身で確認する必要があります。具体的に口座が凍結されているかを確認するには、以下の4つの方法があります。
【1】金融機関の窓口で直接確認する
最も確実なのは、取引のある金融機関の窓口に直接出向いて確認することです。
窓口で確認する場合は、「故人の通帳・キャッシュカード」と「窓口に行く方の本人確認書類(運転免許証など)」を持参し、「口座名義人が死亡したため、現在の口座の状況を確認したい」と伝えてください。 ただし、この問い合わせをした時点で、まだ口座凍結されていなかった場合でも、死亡の事実が金融機関に伝わるため即座に口座凍結されてしまいます。
【2】ATMで「記帳」または「残高照会」を試してみる
手元に通帳やキャッシュカードがある場合、ATMに入れてみることで状況がわかります。口座凍結されていると、機械の画面に「このカード(通帳)はお取り扱いできません。窓口へお問い合わせください」といったエラーメッセージが表示され、カードや通帳が返却されます。
💡アドバイス
口座凍結の確認のために、ATMで「預貯金の引き出し」を試すのは絶対にやめましょう。 もし行き違いでまだ口座凍結されておらず、預貯金を引き出せてしまった場合、そのお金を少しでも使うと「単純承認」したとみなされ、相続放棄ができなくなる可能性があります。ATMで確認する場合は、必ず「通帳記入(記帳)」や「残高照会」のみに留めてください。
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【3】インターネットバンキングを確認する
故人がインターネットバンキング(ネット銀行や銀行アプリ)を利用していた場合、ログインを試みることで確認できます。 口座凍結されていると、正しいIDとパスワードを入力してもログイン自体が弾かれたり、ログインできても「現在お取引を制限させていただいております」等のエラーメッセージが表示され、振り込みなどの操作が一切できなくなります。
【4】公共料金などの「引き落としエラーの通知」で気づく
こちらは受動的な確認方法になりますが、水道光熱費やクレジットカードなどの引き落とし日に口座凍結されていると、引き落としが実行されません。 数日後〜数週間後に、各契約会社から「お引き落としができませんでした」という振込用紙付きのハガキ(督促状)が自宅に届くことで、口座凍結されている事実に気づくこともあります。
口座凍結前に預貯金を勝手に引き出す3つのリスク
「口座凍結されると当面の出費(葬儀代など)が払えなくて困るから、銀行に連絡する(=口座凍結される)前に引き出しておこう・・・」故人が亡くなった後、このように考える方は非常に多くいらっしゃいます。しかし、口座凍結前の引き出しにはこれから述べる3つのリスクがあります。
【リスク1】他の相続人から「使い込み」を疑われ、深刻なトラブルに発展する
相続人間のトラブルで多いのが、この「勝手な預金の引き出し」によるものです。 引き出したご本人は「故人の葬儀代や入院費の精算のために引き出しただけ」という正当な理由があったとしても、他の相続人から見れば「自分のために遺産を勝手に使い込んだのではないか?」と強い疑念を抱く原因になります。これが引き金となって相続手続きが完全にストップしまったり、最悪の場合、他の相続人から「不当利得返還請求」という民事裁判を起こされる可能性もあります。
【リスク2】単純承認とみなされ、相続放棄できなくなる
こちらはこれまで繰り返し述べてきたことです。相続人が相続財産の一部でも処分(消費)してしまった場合、「遺産をすべて引き継ぐ意思がある(単純承認したもの)」とみなされる可能性があります。 もし、引き出した預貯金を少しでも自分の生活費や未払いの支払いに使った後に、故人に多額の借金や連帯保証人としての債務があることが発覚しても、単純承認したとみなされた以上、相続放棄することができません。故人の借金をあなたが自腹で返済し続けなければならない事態に陥る可能性があります。
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【リスク3】税務署から「財産隠し」を疑われ、重いペナルティを受ける(※相続税の対象となる場合)
意外と知られていないのが、税務署からのペナルティリスクです。 税務署は、故人の過去数年分の口座の入出金履歴を厳しくチェックしています。亡くなる直前や直後にATMで多額の現金が引き出されていると、「相続税を減らすために現金を隠したのではないか?(手許現金の申告漏れ)」と疑われ、厳しい税務調査の対象になりやすくなります。 悪質な隠ぺいと判断された場合、「重加算税」という本来の税額に加えて35%〜40%もの非常に重い罰金的な税金が課されることになります。
【例外と対策】どうしても葬儀費用などで引き出す必要がある場合は?
口座凍結前の引き出しは基本的には避けていただきたいですが、過去の裁判例(大阪高裁平成14年7月3日決定など)では、社会通念上相当な範囲の葬儀代の支払いは『単純承認には当たらない』とされたケースもあります。もし、どうしても引き出す必要がある場合は、以下のルールを徹底してください。
- 引き出したお金は自分の財布と分け、専用の封筒等で管理する
- 何にいくら使ったのか、1円単位でわかるように「すべての領収書・レシート」を必ず保管する
- 領収書が出ないもの(お布施や心付けなど)は、大学ノートなどに「日付・金額・支払先・目的」を正確にメモしておく
ただし、これらはあくまで例外的な対処法です。現在は、口座凍結後でも遺産分割を待たずに一定額を引き出せる「預貯金の仮払い制度」(後述)が用意されていますので、基本的にはそちらの制度を使うことをおすすめします。
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遺産分割前でも引き出せる「預貯金の仮払い制度」
先ほども少し触れました「預貯金の仮払い制度」について解説します。 従来は、相続人全員の同意(実印と印鑑証明書)が揃うまで預金を1円も引き出すことができませんでしたが、この制度を利用すれば、他の相続人の同意がなくても、各相続人が単独で一定額までの預貯金を引き出すことができます。
仮払い制度で引き出せる「上限額」と計算式
ただし、引き出すことができる金額には上限があります。上限は以下の計算式で計算します。
【引き出し可能な上限額の計算式】
=死亡時の預金残高 × 1/3 × 手続きをする人の法定相続分
※ただし、1つの金融機関につき上限は150万円まで。
※「150万円では足りない」という場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停(または審判)」を申し立てた上で、裁判所に保全処分として仮払いを許可してもらう方法があります。しかし、この方法は裁判所での厳格な手続きが必要となるため、ご自身で行うには非常にハードルが高いのが現実です。
💡 具体的な計算シミュレーション
(例)相続人が「長男・次男」の2名(法定相続分は各1/2)の場合
- A銀行の残高が「600万円」の場合 600万円 × 1/3 × 1/2(長男の分) = 100万円 ※150万円の枠内なので、長男は単独で100万円を引き出せます。
- B銀行の残高が「1,200万円」の場合 1,200万円 × 1/3 × 1/2(長男の分) = 200万円 ※上限の150万円を超えるため、引き出せるのは150万円までとなります。
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仮払い制度に必要な書類
仮払い制度に必要な書類は以下のとおりです。
- 故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
- 手続きをする相続人の印鑑登録証明書と実印
- 手続きをする相続人の本人確認書類
- 金融機関所定の申請書
金融機関ごとに所定の請求書や追加で求められる書類がある場合があり、異なる対応が必要な場合があります。手続きをスムーズに進めるために、まずは口座のある金融機関の窓口に「民法909条の2に基づく遺産分割前の払い戻し制度を利用したい」と連絡し、具体的な手順な必要書類などを確認することをおすすめします。
仮払い制度を利用する際の注意点
仮払い制度を利用する前に知っておくべき注意点は以下のとおりです。
【1】結局「戸籍集め」の手間は通常の相続手続きと同じ
制度を利用するにあたっては、あらかじめ「誰が相続人なのか」を確定させておく必要があるため、故人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を揃えなければならない点は通常の解約手続きと全く同じです。転籍が多い場合など戸籍の収集や解読に必要以上に時間がかかり、「すぐにお金が引き出せない」とつまずいてしまう可能性があります。
【2】引き出したお金は「遺産の前借り」である
仮払い制度で引き出したお金は、最終的な遺産分割の際に「その相続人がすでに受け取った遺産の一部」として計算され、最終的な自分の取り分から差し引かれます。 ただし、引き出したお金を「葬儀費用」や「故人の入院費」など、遺産全体から支払うべき正当な支払いに充てた場合は、自分の取り分から差し引かれません。そのため、他の相続人に後から「何に使ったか」をきちんと証明し、自分の取り分が不当に減らされるのを防ぐために、必ずすべての領収書を保管しておいてください。
【3】遺言書がある場合などは金融機関が応じないことがある
故人が遺言書を残しており、「特定の財産を特定の誰かに相続させる(遺贈する)」といった指定がある場合や、相続放棄をした人がいる場合などは、金融機関側が「法定相続分とは異なる財産の承継が行われる可能性がある」と判断し、この制度による払戻しに応じないことがあります。
口座凍結を解除する方法【遺産分割協議を行う場合】
口座凍結を解除し、預貯金の払い戻しや名義変更を行うための一般的な手順(遺言書がなく、遺産分割協議を行う場合)は以下のとおりです。
①必要書類(戸籍謄本など)を集める
※同時に公共料金やクレジットカードなどの引き落とし口座を変更しておく
➁金融機関へ故人の死亡を伝え(→口座凍結)、手続きを確認し書類の取り寄せる
③残高証明書を請求する
④引き継ぐか放棄するかを決める
⑤遺産分割協議を行って誰が預貯金を引き継ぐかを決める
⑥金融機関に必要書類を提出する
※相続登記が必要な場合は先に⑤を済ませてから相続登記を行う
①は時間がかかる可能性があるため、できる限りはやめにとりかかります。また、対象の口座が引落し口座となっているときは同時に口座変更等の手続きも済ませておきます。口座凍結されると手続きできなくなります。これらが終わったタイミングで➁を行います。
①から③の間では預貯金以外の財産についても調査します。もし多額の借金(債務)がある場合は④で相続放棄することも検討しなければなりません。相続放棄は3か月という期限が設けられているため注意が必要がです。反対に、引き継ぐことを決めた場合は⑤遺産分割協議を行って預貯金を引き継ぐ人を決めます。
なお、相続財産に預貯金のほか不動産もある場合は相続登記が必要です。相続登記は⑥の手続きを済ませてから行うのがいいと思います。金融機関に提出する印鑑証明書は発行期限(3か月or6か月)内の印鑑証明書の提出を求められることがありますが、相続登記では発行期限は設けられていないからです。
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保有資格:R7司法書士試験合格者(2026年中に司法書士事務所を開業予定)、行政書士、ファイナンシャルプランナー(2級・AFP未登録)
取扱予定業務:遺産承継(預貯金、相続登記など)・生前対策(遺言、任意後見、信託など)・民事裁判・離婚

