【無料DL】贈与契約書の書き方を完全解説!雛形・テンプレート付


保有資格:R7司法書士試験合格者(2026年中に司法書士事務所を開業予定)、行政書士、ファイナンシャルプランナー(2級・AFP未登録)
取扱予定業務:遺産承継(預貯金、相続登記など)・生前対策(遺言、任意後見、信託など)・民事裁判・離婚
贈与契約書とは
贈与契約書とは、財産をタダであげる側(贈与者)と受け取る側(受贈者)の約束(贈与契約)の内容を、後で証明できるように形に残した書面です。
贈与契約書を作るメリット
贈与契約書を作るメリットは以下のとおりです。
【1】安心して財産のやりとりができる
まず、安心して財産のやりとりができることです。
贈与契約は口約束だけでも成立します。しかし、口約束だけだと、後から「言った・言わない」のトラブルとなったときに、「確かにあのとき●●の約束をした」ということを証明する方法がありません。贈与契約書を作っておけば約束した内容を証明することができ、受贈者のみならず贈与者も安心して財産を渡すことができます。
【2】特別受益のトラブルで使うことができる
次に、贈与契約書を特別受益のトラブルで使うことができることです。
特別受益とは、特定の相続人(受贈者)が被相続人(贈与者)から生前に受け取った財産です。贈与契約書がなければ、他の相続人から「本当に贈与だったのか」「親の財産を勝手に使ったのではないか」などと疑われかねないところ、贈与契約書を作っておけば、相続人の疑いを晴らすことができます。また、後で解説する「持ち戻し免除の意思表示」を贈与契約書に盛り込んでおくことで、相続人間のトラブルを避けつつ、スムーズな遺産分割協議を実現することができます。
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【3】税務調査での追及に対抗できる
次に、税務調査での追及に対抗できることです。
贈与で注意したいのが、税務署から「本当に贈与があったのか」と疑われることです。たとえば、子ども名義の口座にお金を貯めていても、実質的に親が管理していると「名義預金」とみなされ、思わぬ税金がかかることがあります。贈与契約書を作っておけば、「双方の合意のもとで贈与契約を締結したこと」を贈与契約書をもって反論できます。
【4】名義変更などの手続きがスムーズに進む
次に、不動産などの名義変更の手続きをスムーズに進めることができることです。
土地や建物などの不動産、あるいは株式などを贈与する場合、法務局や証券会社で名義変更の手続きを行います。その際、窓口では「確かに贈与が行われた」ことを証明する書類の提出を求められます。あらかじめ贈与契約書を作成しておけば、そのまま提出書類として活用できるため、手続きをスムーズに進めることができます。後からあわてて書類を作り直す手間を省くことができ、大切な財産を無駄なく確実に引き継げます。
贈与契約書の雛形
それでは、ここからは贈与契約書の書き方について解説していきます。まずは、贈与契約書【現金を贈与する場合】の雛形をお示ししますので、贈与契約書とはどんな書面か、贈与契約書には何を書けばよいのか、イメージをつかんでいただければと思います。各項目については後ほど詳しく解説します。
贈与契約書
贈与者 甲野 太郎(以下「甲」という。)と、受贈者 甲野 一郎(以下「乙」という。)は、本日、以下のとおり贈与契約を締結した。
第1条(贈与の合意)
甲は、その所有する金銭を次条で定める内容にて乙に贈与することを約し、乙はこれを受諾した。
第2条(贈与財産)
甲が乙に贈与する財産は、以下のとおりとする。
金員:金 3,000,000 円
第3条(引渡し)
甲は、前条に定める金員を、令和〇年〇月〇日までに、乙が管理する以下の銀行口座に振込みの方法により引き渡すものとし、振込手数料は甲の負担とする。
金融機関名:〇〇銀行 〇〇支店
口座種別:普通預金
口座番号:〇〇〇〇〇〇〇
口座名義:甲野 一郎
第4条(特別受益の持ち戻し免除)
甲は、本契約に基づく贈与について、民法第903条第3項の規定に基づき、持ち戻しの免除の意思表示をする。
第5条(規定外事項)
本契約書に定めのない事項、または本契約書の条項の解釈について疑義が生じたときは、甲乙誠意をもって協議の上、これを決定するものとする。
以上、本契約締結の証として本契約書を2通作成し、甲乙内容を確認の上、各自実印にて署名捺印をして各1通を保有する。
令和〇年〇月〇日
(贈与者・甲) 住所:東京都〇〇区〇〇町1丁目2番3号
氏名:甲野 太郎 【印】
(受贈者・乙) 住所:東京都〇〇区〇〇町4丁目5番6号
氏名:甲野 一郎 【印】
贈与契約書の書き方
それでは、ここからは、先ほどの贈与契約書に書かれた各項目について詳しく解説していきます。
タイトル・導入文
贈与契約書
贈与者 甲野 太郎(以下「甲」という。)と、受贈者 甲野 一郎(以下「乙」という。)は、本日、以下のとおり贈与契約を締結した。
タイトルは、誰が見ても何の契約書なのか一目でわかるようにするため、「贈与契約書」と書いた方がいいでしょう。導入文は、誰から誰に対する贈与なのかを明確にします。氏名は印鑑証明書などの公的な書面に書かれてあるとおりに書きます。漢字の字体の間違いには注意が必要です。また、第1条以降で氏名を書くことを省くため「甲」「乙」として人物を特定しますが、条文の中で「甲」「乙」が入れ替わってしまわないよう注意が必要です。
第1条(贈与の合意)
第1条(贈与の合意)
甲は、その所有する金銭を次条で定める内容にて乙に贈与することを約し、乙はこれを受諾した。
贈与は贈与者と受贈者、双方の合意があって初めて成立する契約です。そのため、受贈者が確実に受け入れたことを示す「受諾した」という文言が必須です。この文言を盛り込むことで、税務署から名義預金とみなされ、後から課税されてしまうリスクの回避につなげることができます。
第2条(贈与財産)
第2条(贈与財産)
甲が乙に贈与する財産は、以下のとおりとする。
金員:金 3,000,000 円
贈与財産の条項では「何を」「どれだけ」贈与するのか、第三者が見ても疑義が生じないよう明確に書きます。今回は現金ですが、不動産等の場合は所在や地番なども登記事項証明書通りに正確に書く必要があります。現金の場合、「金 3,000,000 円」のように書きます。後から数字を付け足されたりしないよう、金額の頭に「金」、末尾に「円」をつけ、桁区切りのカンマを忘れずに打っておくことが大切です。
第3条(引渡し)
第3条(引渡し)
甲は、前条に定める金員を、令和〇年〇月〇日までに、乙が管理する以下の銀行口座に振込みの方法により引き渡すものとし、振込手数料は甲の負担とする。
金融機関名:〇〇銀行 〇〇支店
口座種別:普通預金
口座番号:〇〇〇〇〇〇〇
口座名義:甲野 一郎
現金を贈与する場合は手渡しは避け、「銀行振込」で引き渡す旨を書きます。通帳に「いつ・誰から・誰へ・いくら」お金が移動したかの履歴を残すことで、贈与の事実を客観的に証明できます。振込先には、受贈者が普段から通帳や印鑑を自分で管理している口座を指定します。親が管理している子ども名義の口座への振込は「名義預金」とみなされ、贈与が否認される大きな原因にもなりかねません。あわせて、いつまでに振り込むのかという期限も明確にしておきましょう。
第4条(特別受益の持ち戻し免除)
第4条(特別受益の持ち戻し免除)
甲は、本契約に基づく贈与について、民法第903条第3項の規定に基づき、持ち戻しの免除の意思表示をする。
特定の相続人への生前贈与は「特別受益」として扱われ、将来の遺産分割の際にその分を差し引かれる(持ち戻される)のが原則です。特定の相続人に財産を多く残したい場合は、「持ち戻しを免除する」という贈与者の明確な意思表示を条文に盛り込んでおくことが必要です。この記載がないと、贈与者の死後に他の相続人から「あの贈与は遺産の前渡しだ」と主張され、遺産分割の火種になりかねません。契約書に明確な意思表示を残しておくことで、相続人間のトラブルを回避し、スムーズな遺産分割につなげることができます。
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第5条(規定外事項)
第5条(規定外事項)
本契約書に定めのない事項、または本契約書の条項の解釈について疑義が生じたときは、甲乙誠意をもって協議の上、これを決定するものとする。
どれほど綿密に契約書を作成しても、将来予期せぬ事態や解釈の違いが生じる可能性はあります。契約書にない事態が起きた際の解決プロセスをあらかじめ定めておくことで、スムーズな話し合いを促します。これは「協議事項」と呼ばれる条項の一般的な定型文ですが、「お互いに誠意をもって話し合いで解決しよう」という基本姿勢を示す重要な一文です。無用な争いや裁判沙汰を避けるためにも、必ず盛り込んでおきましょう。
締め、日付、署名・押印
以上、本契約締結の証として本契約書を2通作成し、甲乙内容を確認の上、各自実印にて署名捺印をして各1通を保有する。
令和〇年〇月〇日
(贈与者・甲) 住所:東京都〇〇区〇〇町1丁目2番3号
氏名:甲野 太郎 【印】
(受贈者・乙) 住所:東京都〇〇区〇〇町4丁目5番6号
氏名:甲野 一郎 【印】
日付は自筆し、実際に署名押印した日を記載します。日付に自筆するのは贈与者・受贈者どちらでもかまいませんが、贈与契約書を準備した側(通常、贈与者)が自筆することが通常です。過去に遡って書くことは絶対に避けてください。
署名もパソコンでの印字でも有効ですが、契約者自ら署名したものであることの証明のため自筆し、印鑑は「実印」を押印しましょう。印鑑証明書を添えれば、本人が間違いなく合意したという強い証明になります。
一方、住所は契約者を特定するための情報にすぎません。あらかじめパソコンで印字していた方が間違いがなくてよいでしょう。同じ契約書を2通用意し、贈与者と受贈者が1通ずつ保管することで、後の改ざんを防止します。
贈与契約書に割印(実印)を押す
贈与契約書は2通用意し、それぞれの契約書に贈与者・受贈者が署名・押印します。その後、それぞれの贈与契約書に「割印」を押します。
割印とは、2通の契約書が同時に作成された「全く同じ内容のもの」であることを証明し、後からの改ざんやすり替えを防ぐために押す印鑑のことです。
2通の契約書を少しずらして重ね合わせ、2枚の紙にまたがるように、贈与者と受贈者の双方が「実印」を押印します(署名欄で使用した印鑑と同じものを使います)。
【贈与財産別】贈与契約書の雛形のダウンロード
ここでは、贈与財産別に贈与契約書の雛形をダウンロードできます。個別の事情に合わせて適宜修正してご活用ください。
現金Ver
不動産Ver
贈与契約書
贈与者 甲野 太郎(以下「甲」という。)と、受贈者 甲野 一郎(以下「乙」という。)は、本日、以下のとおり贈与契約を締結した。
第1条(贈与の合意)
甲は、その所有する次条に記載の不動産(以下「本件不動産」という。)を乙に贈与することを約し、乙はこれを承諾した。
第2条(贈与財産)
甲が乙に贈与する財産は、以下のとおりとする。
【土地】
所在:〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目
地番:〇番〇
地目:宅地
地積:〇〇.〇〇平方メートル
【建物】
所在:〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番地
家屋番号:〇番〇
種類:居宅
構造:木造スレートぶき2階建
床面積:1階 〇〇.〇〇平方メートル 2階 〇〇.〇〇平方メートル
第3条(引渡し及び所有権移転登記)
1 甲は、本件不動産を令和○年○月○日までに乙に引き渡すとともに、同日までに所有権移転登記手続を行うものとする。
2 前項の所有権移転登記手続に要する登録免許税、司法書士報酬その他の費用は、乙の負担とする。
第4条(公租公課の負担)
本件不動産に対する固定資産税、都市計画税等の公租公課は、前条の引渡日の前日までの分を甲が、引渡日以降の分を乙が負担するものとし、日割計算により精算する。
第5条(契約不適合責任)
甲は、本件不動産を現状のまま乙に引き渡すものとし、本件不動産の種類、品質または数量に関して契約の内容と適合しない事由があった場合でも、乙に対してその責任を負わないものとする。
以上、本契約の成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙署名捺印の上、各1通を保有する。
令和○年○月○日
(贈与者・甲) 住所:
氏名: 【印】
(受贈者・乙) 住所:
氏名: 【印】
不動産を贈与する際の「贈与契約書」特有のポイントと注意点は主に以下の5点です。
- 第2条:不動産の情報を正確に記載する
不動産は「登記事項証明書(登記簿謄本)」に記載されているとおりに、所在、地番、地目、地積(建物の場合は家屋番号や種類、構造、床面積など)を一言一句正確に転記します。少しでも記載が間違っていると、法務局での名義変更(所有権移転登記)が受理されないおそれがあります。
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- 第3条:登記費用などの負担者を明記する
不動産の名義変更には、登録免許税や司法書士への報酬といった費用がかかります。後々のトラブルを防ぐため、雛形のように「受贈者が負担する」など、どちらが費用を支払うのかを明確に定めておきます。
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- 第4条:公租公課(固定資産税等)の精算
固定資産税や都市計画税は、1月1日時点の所有者に1年分が課税されます。そのため、引渡日の前日までを贈与者が、引渡日以降を受贈者が負担するよう「日割計算で精算する」旨を記載し、誰が税金を負担するかを明確にしておきます。 - 第5条:契約不適合責任の免責
贈与は無償で行われるため、「現状のまま引き渡し、後から雨漏りなどの不具合(契約不適合)が見つかっても贈与者は責任を負わない」旨を明記しておくことが一般的です。これにより、将来の無用な争いを防ぐことができます。 - その他:収入印紙が貼付が必要
不動産の贈与契約書は「課税文書」となるため、収入印紙(通常200円)の貼付が必要です。現金の贈与では不要ですが、不動産の場合は忘れずに貼り、署名と同じ印鑑でしっかりと消印(印紙への割印)を行いましょう。
贈与契約書の書き方Q&A
最後に、贈与契約書を作るときによく迷われるポイントについて解説します。
【1】未成年者(子どもや孫)へ贈与する場合の書き方は?
未成年者(子どもや孫)は単独で有効な法律行為(契約)を行うことができません。そのため、未成年者の法定代理人(通常は親権者)が未成年者の代わりに契約を行います。贈与契約書の受贈者の欄も以下のように記載して、法定代理人が未成年者の代わりに契約を行ったことをあわらす必要があります。
(受贈者・乙)住所:東京都〇〇区〇〇町4丁目5番6号
氏名:(未成年者の氏名) 【印】
(乙の親権者)住所:東京都〇〇区〇〇町4丁目5番6号
氏名:(乙の父の氏名) 【印】
(乙の親権者)住所:東京都〇〇区〇〇町4丁目5番6号
氏名:(乙の母の氏名) 【印】
氏名は自筆で書きます。共同親権の場合は可能な限り両親の連名で署名した方がよいでしょう。単独親権の場合は親権をもつ親のみの署名でかまいません。未成年者が幼児で書くことができないときは法定代理人が代筆で未成年者の氏名を自筆し、その下に「(親権者 ○○○○ が代筆)」と書きます。
(受贈者・乙)住所:東京都〇〇区〇〇町4丁目5番6号
氏名:(未成年者の氏名) 【印】
(親権者 ○○○○ が代筆)
(乙の親権者)住所:東京都〇〇区〇〇町4丁目5番6号
氏名:(乙の父の氏名) 【印】
(乙の親権者)住所:東京都〇〇区〇〇町4丁目5番6号
氏名:(乙の母の氏名) 【印】
【2】パソコンで作ったものでも有効ですか?
パソコンで作成した贈与契約書でも有効です。
タイトルや契約の条文、住所などの項目は、パソコンで入力して印刷したもので全く問題ありません。むしろ印字されていた方が読み間違いを防げます。
ただし、先ほど解説したとおり、「署名(氏名)」と「日付」だけは自筆(手書き)してください。また、印鑑は印鑑登録してある「実印」を押印してください。
【3】「確定日付」は取ったほうがいいですか?
必ずしも公証役場へ行って「確定日付」を取る必要はありません。
確定日付とは、「その日にその文書が確かに存在した」ことを公証役場で公的に証明してもらう制度です。確かに、確定日付をとっておけば、「少なくとも、その日付の時点には贈与契約書が存在していた」という事実を公的に証明することができます。
しかし、現金の贈与であれば、贈与契約書を作成した上で「銀行振込」を行えば、通帳に客観的な記録が残ります。不動産の贈与でも、法務局に登記申請を行うことで登記簿に記録が残ります。このように、確定日付以外に証明できる手段があるのであれば、わざわざ手間や時間、費用をかけて確定日付を取りに行く必要性は低いと考えます。
【4】贈与契約書はいつまで保管すればいいですか?
贈与契約書の適切な保管期間は、財産の種類や適用する制度によって異なります。
① 金銭(現金・預貯金)の贈与 【目安:贈与者が亡くなり、相続税の申告や税務調査が完了するまで】
贈与税の時効は原則6年(最長7年)ですが、贈与者の死後に税務署から「名義預金(実質的な遺産)」と疑われるリスクを避けるため、数十年先であっても贈与者が亡くなるまで保管が必要です。また、2024年の税制改正により、相続開始前「7年以内」の贈与が相続財産へ持ち戻されるため、直近の契約書は相続時に必須となります。
② 不動産の贈与 【目安:その不動産を将来売却し、譲渡所得税の確定申告が終わるまで】
将来不動産を売却する際、売却益から差し引く「取得費」は贈与者の購入代金を引き継ぎます。契約書を紛失すると取得費が「売却額の5%」とみなされ、多額の税金が課される可能性があるため、売却完了までの保管が必須です。
③ 相続時精算課税制度の利用 【目安:贈与者が亡くなるまで(一生涯)】
この制度で受けた贈与は、何年前のものであっても贈与者の死亡時に相続税の課税対象として加算されるため、一生涯保管し続ける必要があります。
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取扱予定業務:遺産承継(預貯金、相続登記など)・生前対策(遺言、任意後見、信託など)・民事裁判・離婚


